言葉遊び

深まる秋に

何を待つ銀杏散り積む午後にいて 何をするでもなく公園にいる。 ベンチに座って時を過ごし、私は何かが訪れるのを待っている。 銀杏が、静かに散り積もってゆく。 私はいったい何を待っているのだろう? 待っているものは、いつ来るのだろう? 神の啓示のよ…

今宵の月は

【お題「月」で四句】 月灯り百年前の帯を解く 煮凝りの琥珀ゆらりと月今宵 ほら月も濡れているわネ二人酒 蕎麦熱く鰭酒熱く月白く 約拿 人目を忍んだ逢瀬の夜。 とっておきの着物を着て、酒と肴を用意して。 夢中なのは女の方。男はのらくらとしている。 男…

グダグダと書く言葉の中にこそ

「二つの朝」 美麗島東南海上午前五時 まだ明けやらぬ空の下 彼は海へと向かう 藍色の凪に身を漂わせ 唇に小さく歌を乗せながら 新しい朝の光を待っている 極東 朝まだき春の曇天 私は朝靄の白い窓を開く マフィンとバターとオレンジと 届いたばかりの新聞の…

漢俳

マッタンと堀本先生がやってる「すばる」の俳句公募、たくさん提出しちゃった♪(「ササる俳句 笑う俳句」)我ながら満足なデキです。 自画自賛でここに載せたいんだけど、コンテスト終わるまでガマンw マッタンのサイン入り歳時記、当りますように(祈)。 …

いつか海に帰る人

「他説「我是魚」。 如果那様我希望 變成春海」 約拿 中文で俳句作ってみた! 最後の5音がちょっと発音によっちゃ字余りのような足らずのような…ようするに納まりが悪いんですが…どうかね。 こないだ、阿嶽が言ってたの。 「僕は魚だ。山を恋しがり海を恋し…

秋の門

今日は暑いくらいの陽気でした。 青い空に色づいた紅葉がよく映えてとてもキレイ。 パン屋さんに行く途中で、しばし足を止めて見た景色。 祥雲寺の山門。 慈光寺の「赤門」。 「 柿落葉 刻(とき)解け往きて 鄙の門 」 約拿 最近ちょっと俳句齧ってます(マ…

文章修行家さんに40の短文描写お題(3)

先日の続きです。 一気に40題まで行くぞー! ■21. 神秘 触れられた腕が、熱くなる。 そこに心臓があるみたいに、ドキドキする。 不思議だ。 魔法を使ってもいないのに、あいつは俺をおかしくする。(64) シリルです。ごめん、腐った。 ■22. 噂 「チョウとキス…

文章修行家さんに40の短文描写お題(2)

昨日の続きです。 ■11. 本 彼女のために、高い場所にある本をとるのは僕の役目。 「右から2番目の本を取って」 背表紙のタイトルに動揺。「異性攻略術上級」って?!(65) ハー子さんにきっと他意はない。 ■12. 夢 花嫁になった君の笑顔を遠くから見ている。…

文章修行家さんに40の短文描写お題(1)

こちらは文章修行家さんに40の短文描写お題サイトさんの配布モノです。 ■00. 説明と一言。 このお題は、65文字以内で具体的な場面を描写する決まりになってます。 出来る限り、モノローグや抽象性等を排除し、場面が思い浮かぶようにせよ、との事。 ルシリっ…

いのちに。

暖かな陽光に包まれていのちが弾んでいる細いツメクサの茎につかまって小さな体が震えている 草叢はあまりにも広大で蒼穹はあまりにも遠くなのに彼はたった独りだった 春の野にどこまで続くかわからない未来を見て小さな体が震えている 「大丈夫。」私は彼を…

私が神に祈るワケ

この世には悲しい事が多すぎてしかし私には悲しい事がまだ訪れていなかった。 年毎に猶予の嵩(かさ)を増した宿題はいずれ私を打ちのめすのかもしれない・・・とそのことが私には何よりの恐怖で生きる事の辛さはすなわちその杞憂とも確信ともわからない漠然…

夜明けに

午前五時。まだ陽は昇らない。 屋上のフェンスに寄りかかり、私は朝靄の街を見下ろしていた。操車場のレールの軋みが遠くに響き工場の、鉛色の煙突からは間断なく細い煙が伸びている。貨物輸送の列がハイウェイの高架を行きすぎると暗い森から一斉に鳥の影が…

夜が美しくて 美しすぎて 震えていたのはいつだったろう。星たちが 開いた窓からワーッと押し寄せ、息がつまった。眠りについた夏草の匂いが 暗い部屋に満ちた。 私にはあなたがいた。

揺らぐ人

私はいつも、実質の人でありたかった。「人生とはなにか?」などということを考え込むのではなく、例えば、創作のアイディア。工夫。数式。思いがけない論理。一頁の文章。子猫のしつけ方。植物の育て方。美味しいパンのコネ具合。絵の具の混ぜ合わす割合。…

my sweet home

こうして頬を寄せていようこうしてとうもろこしを育ててゆこうゆっくりと流れてゆく雲を眺めながら夕暮れへと変わってゆく空の下で。 小さな泡のたつソーダ水、甘くつややかなリンゴの実焼いた鱒と温かいスープをテーブルに載せてソファに深く腰をおろし静か…

遠景

道と空とは彼方で出会っている。地平線の、陽が沈むあの場所で。 けれども私たちはそこにたどり着くことができない。転がる石のように、私たちは荒野に置き去りにされている。果てしなく続く道の、ごく一部しか見通せない。見える風景は限られている。舞う砂…

遠い友へ

私ね今ならわかるんだあの日あなたが突然に姿を消してしまったわけが あの日桜が降り散っていたあの日 巣鴨の駅の一番端に呆けたようにしゃがみこみはらはらはらはら ただひたすらに降り散る桜を見てました山ノ手線の線路の上にはらはらはらはら泣きたくなり…

欠片

私の抱えていた箱は桜色の キレイに輝くその箱は振ってみたらばカラカラと妙に軽い音がした カラカラと乾いた軽いその音は箱にポツンと入ってる小さな欠片の在り処であった。 この箱を持ってくるため別の荷物を置いてきた。置いてきた荷物に未練はないがそれ…

金色の秋

気紛れに見上げる空に雲(くもり)無く管(かん)の音わたる 秋あり此処に *** 「切なさ」は、「刹那さ」かもと、ふと思う睫毛(まつげ) 夕日に染まる時刻は *** 一粒の麦死なずば、と 野をゆきて一粒の麦たることの 切なさに満ち *** 人はみんないつかはい…

白樺

谷あいの夕暮れ遠く歩みくる子らの頬 朱に 鬼灯(ほおずき)持ちて *** 驟雨去り 白樺林を包み込む 山の香 母の深窓想う *** 戯れに手折る紫苑の哀切に「第七官界彷徨」を読む *** 写真は、雨の軽井沢で子供達が晴れるのを祈って窓辺に吊るしたテルテルボウ…

なかぞらに

見上げれば、ふたたびの夏去年より短い髪で風に吹かれて *** 女子高の屋上に居し拗ね者の暑中お見舞い「結婚しました」 *** 飽くこともなく明日もまた空を見るあのなかぞらに翳りあれども ***雲の上の空は、いつだって青い。そのことを忘れないように、私は…

臨海

その芥(あくた)、いずこより着たりお台場の夕景に遊び やがて消えゆく *** かすかなる潮の匂いに 埋もれいし 海原思う 夏は巡りて *** この街は幻それもひときわの。まるでひとりの人生のような *** お台場に行きました。 小さな砂浜を歩きながら感じたの…