白樺

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谷あいの夕暮れ遠く歩みくる
子らの頬 朱に 鬼灯(ほおずき)持ちて

 

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驟雨去り 白樺林を包み込む 
山の香 母の深窓想う

 

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戯れに手折る紫苑の哀切に
第七官界彷徨」を読む

 

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写真は、雨の軽井沢で子供達が晴れるのを祈って窓辺に吊るしたテルテルボウズです。...何がなにやら、って感じだけど。お陰で翌日、とてもいいお天気になりましたところを撮りました。

白樺の緑がとてもキレイです。
山の天気は変りやすくて、空を眺めていると雲が絶えず流れてゆくのが見えます。
特にすることもなく暇だったので、空のよく見える部屋で、日がな尾崎翠全集を読んで過ごしました。
薄く闇がかかったような尾崎翠の世界から、フッ...と目を上げボーッと空を眺めて、そのまま少し眠ったり、にわか雨の音に目覚めたり。そんな感じでした。
で、そんな風に読んだ「第七官界彷徨」の印象は、茫洋としながらも強烈で、不思議な感覚が残っています。

尾崎翠はどことなく自分と似ているようないないような...そんなどっちつかずの印象です。私のほうが圧倒的に俗なので、遠い親戚くらいの間柄かもしれません。でも、下記のような文章は、まるで自分のことかと思ったりもしました。

「お母さん、私のような娘をお持ちになったことはあなたの生涯中の駄作です。チャップリンに恋をして二杯の苦い珈琲で耳鳴りを呼び、そしてまた金の御無心です。しかし明日電報が舞い込んでも病気だと思わないでください。いつもの貧乏です、私が毎夜作る紙反古はお金になりません。私は枯れかかった貧乏な苔です。」尾崎翠「木犀」より。