夜明けに

午前五時。
まだ陽は昇らない。


屋上のフェンスに寄りかかり、私は朝靄の街を見下ろしていた。
操車場のレールの軋みが遠くに響き
工場の、鉛色の煙突からは
間断なく細い煙が伸びている。
貨物輸送の列がハイウェイの高架を行きすぎると
暗い森から一斉に鳥の影が飛び立った。

 

それは一日の始まりで
または一日の終わりでもあった。


始まりと終わりの境界線は、いつだってこうして曖昧で
そして絶えず動いている。

 

私はタイメックスの腕時計を耳に当てながら
地平線の向こうから何かがくるのを待っていた。
煌めき輝き、私の頬を薔薇色に染める
「光」を。