この世には悲しい事が多すぎて
しかし私には悲しい事がまだ訪れていなかった。
年毎に猶予の嵩(かさ)を増した宿題は
いずれ私を打ちのめすのかもしれない・・・と
そのことが私には何よりの恐怖で
生きる事の辛さはすなわちその杞憂とも確信ともわからない漠然とした恐怖感ゆえなのかと。
つまり心の平安とは
私の場合
日々の平安そのものではなく
宿題の無い世界が存在するということを信じることであった。
私は神を
信じるよりほか無かった。
失われたエデンの園がきっとどこかにあることを
そして誰の行く手にもそれがあることを
願うしか。