十二時辰図を作ってみた

十二時辰というのは、干支の十二支を二十四時間に当てはめて一日の時間を示す方法です。
日本でも江戸時代には誰もがこの「十二時辰」を使っていたのに、今では全然使いこなせない。
長安二十四時』は時間が主役のようなドラマで(原題はそのものズバリの『長安十二時辰』)、各章のタイトルはこの十二時辰が使われています。

こんなふうにね。カッコいいんだこれが。
毎回、司天台報時博士の龐霊が、漏刻の目盛りを見て太鼓をたたきながら朗々と時刻を知らせるのです。

この「巳正 大荒落」というタイトルは第一話のもの。(「大荒落」は巳の刻の古異名)
「正」というのは、一刻の真ん中の時間。一刻を半分に区切って「初刻」「正刻」と呼びます。
つまり「巳の正刻」とは午前10時のことです。長安は午前10時に坊門が開かれて一日が始まります。
長安の最も長い一日」(英題”The Longest Day in Chang'an”)であるこの物語も、この時間から始まるのです。

物語のタイトルには毎回こうして時刻が刻まれるのですが、「酉の正刻」「戌の初刻」なんて言われても、それが何時のことなのだかすぐわからない。手元に一覧表があったらその都度確認できて便利だなぁ…と思い立ったので、すぐ行動。
十二時辰図、作りました。

さりげなく李必のイメージカラー(緑色)で作ってみましたよ♪
サイズはA4。普通にファイルに入れて手元に置いておくつもり。

日本でよく使われていた「九つ」「八つ」などの呼び名も入れました。これ、「四つ」まで行くといきなり「九つ」に戻るので、なんでだ?と思ってたんです。
これは陰陽道の考えに則った呼び方なのだそうで。陰陽道では「九」が最強の数。一番安定した縁起の良い数字です。だから子午でそれぞれ九つ鐘を鳴らしていた。一刻後には九を重ねて(九と九の重なりを「重陽」といって、福が重なる意味がある)九×二=十八。でも、十八回も鐘を鳴らせないので下一桁の八回鳴らす。次の一刻では九×三=二十七で、下一桁は七…というやり方で、八、七、六、五、四…で0時に至るのでまた九から始まる、となるのです。

「へ~!ただのかぞえ数字ではなかったのか!」と、この年にして初めて知りました…。なにかもう、いろんなことを知らなくて愕然とします。こういう機会がなければ、知らないことすら気づかずに年を重ねていくんだろうな。興味がなけりゃ無知を知ることすら無い。こうして興味を持って、知ることが面白くてたまらないという状況になって初めて知る…というところに意味があるのかもしれない(と、ポジティブに考える)。人間、巡り合うにはそこでなければならない「時」ってのがあるのでしょう。

この他にも、日本では一刻を30分ごとに区切って「一つ」「二つ」「三つ」「四つ」と付ける呼び方もあります。よく言う「丑三つ時」は「丑の時の三つ目」なので夜中の2時30分ということになります。
それと、干支の「干」の部分、十干(甲・乙・丙・丁・戊・己・庚・辛・壬・癸=こうおつへいていぼきこうしんじんき)の割り当てもあります。それをさらに五行に分けたものや、八卦(乾・兌・離・震・巽・坎・艮・坤=けんだりしんそんかんごんこん)を加えたもの、さらには体の部位などまで紐づけられているものもあります。
あらゆるものが絡み合って巨大な宇宙を表現しているのです。奥が深すぎて、私には把握できませんが、こういうのも『陰陽師』とかにハマったら自然と理解できるようになってたりするのかもなぁ。
何にハマるかによって人生ってわりと変わるような気がする今日この頃。