長安の地図を作ってみた

長安二十四時』を見ているうちに、長安の街そのものにハマりました。
再現された街並みがあまりにもリアルで(って、見たことも無いのに「リアル」かどうかはわかんないけども)とにかく素晴らしく、すっかり心を奪われちゃったのです。
もはやどこにも存在しないいにしえの都が、もの凄い精度で再現されているんですからね。

飛鳥や奈良の時代が好きな向きにとっては(私ですよ)、その生みの親ともいえる長安の威風堂々たる姿を見ることができるのは、夢のようです。
今じゃ閑散として風だけ吹いてるような平城京(跡地)も、かつてはあんなのんびりした場所ではなくて、多くの人で賑わう大都市だったのだ!…という想像ができる。長安があるから、平城京が想像できるのです。あの賑やかな長安も今では田んぼの下に埋まってしまっているのだから、平城京だってその昔はさぞかし…と思うわけ。そんな夢想はとても楽しい。

以前『KU-KAI~美しき王妃の謎』を見た時にも壮大な長安の街が再現されていましたが(しかも、予算はこのドラマの数倍かけて作ってるとか)、あまり印象に残りませんでした。っていうか、めちゃくちゃ綺麗だったんだけど、ほぼほぼCGだと思ってたんですよね。全体にCG映像を多用した作品だったし。絵ヅラがなんだか人工的で。あれが実際に莫大な資金を投入してセットを組んだものだと知ったときは驚きました。
長安二十四時』は、それより低予算で(と言っても日本のドラマじゃ考えられないくらいの巨費が投じられてますが)こんなにも生き生きと魅力的な、人々の生活の息吹きが感じられる長安を再現したのだから凄いもんです。

ドラマの中で、登場人物たちは、108ある長安の「坊(四方が高い壁に囲まれていて、夜になると坊門が閉まり、その外に出るのはご法度、という区画ブロックです)」を縦横無尽に走り回ります。
光徳坊、安業坊、懐遠坊、平康坊…次々と出てくる「坊」の位置関係がわからないと、人物の動きもよくわからない。場のイメージも捉えにくい。
「これは…地図を描いて、場のイメージを体感しなくては!」
と、どんどん気持ちが高まったのですが、いかんせんドラマのノンストップぶりに私の視聴もノンストップで(汗)、あれよあれよと話数が進み…。並行して地図を書き始めたものの、仕上がった時は最終回でした。あーなんのこっちゃ。
でも大丈夫!最初から「おかわり」するつもりでしたので、次のターンではしっかりこの地図を活用し、位置関係や場の雰囲気を掴みながらストーリーを辿ることにします。
そしてすでに二杯目「おかわり」、行っております!
結末を知ってから見るとまた違う発見があって面白い。え?こんなシーンあったっけ?という、一度目で注意力散漫だった箇所の補填もできます。登場人物の設定さえ、一度見ただけでは把握しきれていなかった…ということも。そして振り返ればわかる謎めいた会話の意味!このドラマ、実は一回じゃよくわかんないかもしれない。

こちら、作った地図です。

100均の模造紙(うっすらとマス目が書いてあるもの。マス目がないと地獄です)を買ってきて、縦80㎝横65㎝のサイズで作りました(大きさの目安にペットボトルを置いてみました)。
壁に貼って眺める、という使い方をするための大きさです。
最初は位置関係だけつかめればいいや、と思い関連サイトに載ってる地図のコピーで済まそうとしたんです。でも、実際それじゃ小さすぎました。場所の名前も不明瞭だし、独自に書き込みできるスペースがないので、自分なりのカスタマイズもできない。なので、情報記入できるスペースを確保した大きさで、自分の手で描くことにしました。
正直言うと、ドラマの中の沙盤や、張小敬が地図を描くシーンなどを見ているうちに
「地図、描いてみたい!」
って衝動が沸き起こったの。
何かのためというより、ただ描いてみたかった。
李必のコスプレがしたくなった、ってのと似たような衝動ですねw単純なのです。単純だけどこれぞ創作の本来の姿だなぁと、ワクワクしましたよ。
最近はモノを作るのにいつもエクスキューズをつけていました。そこに自分自身が縛られていた。こんなに自由に、子どもみたいに、思うより先に手が動くほどの衝動を得たのは久しぶりです。もうそれだけで嬉しい。

地図にはそれぞれの場所の雰囲気がわかるように、ドラマのシーンをキャプチャして貼っています。まだまだ途中です。移動した動線とか、地下道や川なども書き加えたい。『唐磚』のシーンも入れたいです(場所特定できるシーンは少ないけれど)。
「玄武門の変」がどこで起こったのか、はじめて位置がわかりましたよ。「玄武」だから北門だな、と思ってはいましたが、実際に地図で見ると、その位置からより一層イメージが湧きます。「ああ、皇宮を奪い取った戦いだったんだなぁ」と納得できます。
これから他の映画や小説や学術書などに出てくる場所もいろいろと加えていって、次第に”私の長安”ができてくんですよ!トキメクね。
エンタメ作品を楽しむ資料というだけでなく、今後、自分の創作を作る時にも使える、という目論見もあります。目論見のために作ったわけではないけれど、描いているうちに自分の中にも少しずつ物語が生まれてくるから愉しくてたまりません。物語の中でキャラクターを動かすときに、地図があるのとないのとでは臨場感が違いますからね。
でもこの長安、実際の大きさの感覚で掴めていないのを感じます。果てしなくどデカイのですよ!
地図の真ん中を通る朱雀大路。この道幅がどのくらいかというと、

なんと!150mもあるのです。現代の一般道の車線がだいたい3m前後ですから、50車線分の広さということです。それ、実感としてなかなかイメージできないですよねぇ。全然ピンとこない。
ちなみに日本の平城京朱雀大路は85m。長安の約半分ですね。平城京もかなりデカイ!