宮本浩次縦横無尽@宇都宮 その2

昨日の続き。

そんなわけで私はずっと座って、踊りまくる客と客の隙間から、オペラグラスでステージを見ながら、宮本の歌声を聞いていました。その姿が見えずとも、歌の価値は変わらない。
意固地な客である私はおかげでろくすぽ宮本の姿を見ることもなく、「PSアイラブユー」で宮本が泣いた、なんてのも後になってTwitterで知ったくらい。
さぞかしつまんなかったであろうと思いきや、実はその真逆で。こんな意固地な態度のせいで、私は普段であればたぶん気がつかないであろう珠玉を発見することができたのです。
わずかな隙間から覗くオペラグラスでは、ほぼ一か所しか見ることができなかったのだけれど、それが丁度、ドラムの玉田豊夢さんをガッツリと捉える位置でした。必然的にトムさんの姿だけを見る羽目になった。
最初は「そこを見るしかない」状態だったけど、すぐに「そこだけを見たい」に変わりました。
だって、だって、
トムさんが、メチャクチャかっこよかったのです!!
そのドラミングの見事なこと!叩く姿のキレの良さ!とにかくカッコいいんですよ!衝撃でした。あまりの素晴らしさに心奪われて( ゚д゚)ポカーンって感じ。
一瞬で夢中になって、ずっとトムさんのドラミング姿だけを見てました。
時々、オペラグラスの丸い視界に汗だく熱唱宮本が出たり入ったりしてね。ひょいひょいとイイ感じに二人のツーショットが見られたりするのがまた面白くて、俄然ライブが楽しくなった。
二部になったら最前列の人までもが立ち上がって、トムさんの姿も遮られてしまったので、私も立ち上がって、直立不動でトムさんをガン見するに至りました。
なんだかんだ言いながら、私はおのれの欲望ゆえに意固地な決意をあっさり撤回した。トムさん見たさに思わず立った。その時、「ああ、そういうことか」と気づいたのです。みんなおのれの欲望で動いているのだ、ということに。
人は、「見たいものを見、聞きたいものを聞く」のです。同じステージでも、それはそれぞれ違う。同じものを見てはいない。だから必ず齟齬がある。食い違うのは仕方ないの。
だって「絶対に同じものを見ていない」のだから。
そう思うことで、何か一つ納得したのでした。「知らんがな」の世界です。それで上等なのね。

***

いつもの個人的なライブ嫌いの不愉快病は別として、今回のライブは本当に素晴らしかったです。
心の中にブワー――っと一気に花が咲いてゆくようだった。華やかなプロの音の中で宮本が歌ってる、という状態が新鮮で、なんかすごいものを見たような気がした。
とにかくバンドが上手くて楽曲の表現が最高に豊かなんですよ。
宮本も緊張感をもってしっかり歌ってた。エレカシの時とは明らかに態度が違う(おい)。いいか悪いかの話ではなく、全然違う。技術的に最高の仲間と作ってゆくステージは、明らかに宮本の今後を変えると思う。この先がまだまだ続くのを感じて嬉しくなりました。ますます面白い道でありますように。

「君に会いたい」「化粧」素敵でした。「獣ゆく細道」は一人では無理があったか。真っ赤に染まった「冬の花」の美しさ。やっぱり「風に吹かれて」はド名曲!好きすぎて涙。そして「ハレルヤ」。大好きな曲で締め。最高だった!
ああ、私もまた頑張ろう、と思えた。生きる屍もゾンビのようにむっくり起きたぞ。起こしてもらったぞ。という感じ。

f:id:freaky47:20220207232907j:plain

ロビーを中二階から撮ったらちょっと幻想的な絵になった。

f:id:freaky47:20220207232854j:plain

パンフとご当地限定キーホルダー。
赤いハートは「冬の花」の時にステージに舞った花びらです。
ステージの後ろから風が吹いて、客席の方に花びらがたくさん舞い降りた。

小林(武史)さん曰く、「今日のステージは特別な感じがする」とのこと。Twitterで見てもかなり充実の内容だったとの声が多かった。「社会の窓」もさっそくトレンド入りしてたしw いいステージに立ちあえました。


家に帰って「宮本、どうだった?」って家族に聞かれた私は、「玉田富夢って知ってる?すっごいカッコいいドラマ―がいるんだよー!」と、ほぼほぼトムさんの演奏の話ばかりしておりました。そしてYouTubeでトムさんの演奏を見まくり(聴きまくり)ました。やっぱりカッコいい!そうとは知らず聴いてた源ちゃんの「創造」も、トムさんの演奏だったのね。キレッキレだ。最高。
トムさん、これからも宮本のバックをやってくれるのだろうか…やって欲しいなぁ。
ああ…トミと比べているわけではないのよ。決して、トミよりトム、ってことではないの。別物だもんね。トミもトムも、ですよ、もちろん!でも……またあのめくるめくようなトムさんの音の中で宮本の歌を聴きたい。もう少しの間「独歩」を続けて欲しい気がしています。