「キングダム・オブ・ヘブン」

キングダム・オブ・ヘブン (字幕版)

キングダム・オブ・ヘブン (字幕版)

  • 発売日: 2013/11/26
  • メディア: Prime Video

十字軍とイスラム軍のエルサレム攻防を描いた大スペクタクル史劇、です。
こういうのやったらすごく巧そうなリドリー・スコット監督作品。
戦闘シーンの凄さと映像美は一見の価値あり!
体ごと中世のエルサレムにもっていかれるような…あの土埃の中に一瞬立ったかのような錯覚を起こす強烈な視覚的インパクトがありました。
きっと目の玉飛び出るくらいお金かかってるんだろうな。
でもお金かけただけのことはある。おかげでありえない映像が観られた。
絵巻のような壮絶な戦闘シーンなど、すごくドライな俯瞰の位置に立っていて(要するに神の目線だ)、「こんなことはとことん虚しい」という諦念のオーラに覆われていました。
神が、呆れている。
その「呆れ」を感じられる映像になってたと思います。
人間はいつの時代も愚かですね。宗教をタテにした悪行もまったくもって腹立たしい話で。十字軍なんてのはもう、神を冒涜する汚点でしかないわけですけどね。
ま、そういう話はおいといて。(ミーハーな理由で観てるので、何を言っても浮く気がする(汗))
以下、萌え語り。


この映画、実は観る前はホントに食指が動きませんでした。
ファンサイトのキャプチャ画像で見たデビシュのビジュアルは完全に爺さんで、出番も少なそうに思えたし、何よりも私は個人的にオーリーが(今までの役のせいか)イマイチ好きじゃないので、オーリー劇場であろう本作を2時間以上も見るのはキツイと思っていたのでした。
ところがフタを開けたら、かなり面白い映画でした。
苦手なオーリーも今回はイヤではなかったです。
たぶん、アホな行動&マヌケな色恋沙汰がなく、基本、冷静なヒトで通していたからでありましょう。
でもって、予想外に、デビシュがカッコよかったのです!!
全く期待していなかったから、その分、上げ底感情かもしれないけども(笑)。


デビシュは主人公(オーランド・ブルーム)の父であるゴドフリー卿(リーアム・ニーソン)の仲間の坊さんです。
ビジュアルは爺さん。
髪も脱色して、小太りで、ヘンなカブリ物(甲冑とかビショップ帽とか)をつけ、ご自慢の細い指はぷっくりとソーセージ化しております。
で、どう見てもリチャード・ドレイファスに似てるんだよ。雰囲気が。
ドレイファスは私の好きな俳優の1人ですが、何度も錯覚を起こしそうになるくらい、どーーしても被る。(そりゃ身長は30センチくらい違うけどさw)
ホントにデビシュってカメレオン俳優なんだとつくづく感嘆しましたね。デビシュに見えないんだよ。
見事に今までに観たことがないデビシュだった。



あえて類似傾向を探すとすれば、ルーピン先生でしょうか。
飄々としながらも、どこか苦労をしてきた人のもつ如才のなさが漂ってたり、とか
教えを説きながらも、常になんかモグモグ食ってるみたいなとことか。←その行為とメタボ感がマッチしてて、すごく自然w。


甲冑姿はきれいなお顔が隠れるので残念ですが、これを被って馬に乗るシーンは腰砕けになるくらいカッコいいです。
馬乗りシューリスはかなりツボ。
普段の動作がなんだか敏捷さとはほど遠いモッさり感のある人なので、乗馬の時のキビキビした動きに「おお!?」となる。
「なんだ、運動神経いいんじゃん!」みたいな、新鮮な感動。意外性。この意外性というのはクセモノで、一歩間違うとメロメロになる。


こちらはビショップ帽をかぶった姿。
あんまし似合いません。なんかパツンパツンで。




でも、かぶりモノをとると、薄くて柔らかい髪がふわふわしてんのだ。
爺さんビジュアルなのにすごくカワイイ!
てか、この姿にめっちゃ色気を感じてしまったりする私。もう何でも来いだな(汗)。


坊主といっても彼は戦場に行く人であります。それが不本意な戦闘でも、指揮官として参加しなくちゃならない。
「死は必然だ」とニヤリと笑って戦場に向かう姿がせつなかった…
きっと帰ってきてくれると思っていたのに、死屍累々の戦場に折り重なるようにして息絶えているのを見て絶句。
彼はもう帰ってきてくれないんだ、とわかってからの後半部分は、ものすごーーく虚無的な気持ちに包まれてぼんやりと観てしまいました。
それでも頑張って最後まで観ましたが、まるで色の無い絵を見ているようでした。砂漠の匂いも、風の音も、はるか遠くなってしまった。
すごい喪失感でありました。