空の彼方に

今日、飼っていた2匹のドジョウ、黒い子ちゃんと白い子ちゃんのうちの黒い子ちゃんの方が、天に召されました。
数週間前から体が曲がり、顔色が悪くなり、元気がなくなっていました。止まっている時も水流に負けてふらっとしたり。餌も食べている様子がなかった。
暑い日が続いていたし、もしかして栄養不良による背曲がりかも(?)と思い、赤虫を餌に加え、エアーポンプとフィルターを一段性能のいいものに変え、隠れ家用の土管を新たに設置したりしたのですが、どんどん弱ってゆく一方でした。

今朝、水槽を覗いてみると、相変わらずふらふらした様子だったのですが、しばらく声掛けしながら様子を見ていたら、ふいに元気に泳ぎはじめました。
スイスイ~っと水面まで勢いよく上ったかと思うと、態勢がたてなおせずにゆらゆらと降りてきて…また一生懸命、すごい勢いで水面まで上るのです。やがて力尽きたようにお腹を上にしながら降りてくると、すっ…と這うように岩場の陰に入り込んでしまいました。

 

ああ、これでもうお別れなのだ…とわかりました。
最後まで懸命に上に向かって泳ぐ姿に、涙が止まりませんでした。
命の最後の輝きを、まるでお別れを告げるかのように私に見せてくれたのです。

 

午後、そっと岩場の石をどけてみたら、黒い子ちゃんが亡くなっていました。
亡骸はベランダに植えてある御榊さんの木の下に埋葬しました。神さまのお膝元で、安らかに眠れますように。

 

思いのほか心にこたえてしまって今日は一日思い出しては泣き、思い出しては泣き…でへとへとになってしまいました。
ただ、死んでいたのを発見しただけなら、悲しくてもここまでこたえなかったかもしれない。
やはり最後の命の輝きを目の当たりにしたのが、すごく重いのです。全身全霊でお別れの挨拶をしてくれたような気がして、感極まってしまう。
魚だって、ちゃんとわかっているんですよね。以前、金魚が亡くなった時も同じことがありました。(こちらのエントリに書きました
自分の死期を知った時、お別れを伝えたい人の前で、最後の力を振り絞って何かを伝えようとするのです。
なんとけなげで、愛おしいことか。


ドジョウ一匹でこんなにツラいのだから、もうこれ以上ペットは飼えないな、と痛感しました。
命の終わりを見るのはシンドイ。無理。10年前は乗り越えられたことも、今はとても苦しい。年をとったらきっともっと無理になる。
ガーデニングだって雑草をとったり剪定したりするのにいちいち心が痛むのです。枯らしてしまったりすると「命を奪ってしまった」ということにどよ~んと落ち込んでしまう。できるだけ心を「無」にして草取りや虫の駆除をするのですが、ものすごく疲れます。こういうのも長く続けられそうな気がしません。
心が脆弱で、いろんなことに耐えられない。昔はもうちょっと強かったのに、ホントにダメになってる。
もはや無機質な空間で本でも読んで空想の世界に生きるしかないようになるやもしれん。もとからそっち系か。


私が繰り返し「可哀そうなことをした。もっと早く病気に気が付いてあげられてたら…」といってメソメソ泣いていたら、お嬢が「寿命だったんだよ。大丈夫、きっと幸せだったよ。アブシンベル神殿まで行けたし!」と言って慰めてくれました。
そう、一時期、水槽の中にアブシンベル神殿を入れたこともあったのです。なんか、ちょっと可笑しくなって泣き笑い。これステキだったなぁ。一目惚れで即買いしたのよ。ドジョウには何が何やらですがw

 

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この画像にはドジョウたちは写っていません。砂に潜っているからね。
いつも、どこに隠れているのか見つけるのが楽しかった。トボケたような可愛い顔してしれっと埋まってるんだよ。
3年間、たくさん楽しませてもらいました。
って、いや、まだ白ちゃんが残ってるんですからね。これからも楽しく、できるだけ長く一緒に過ごせたらいいなと思っています。


今日の夕方、雨雲の向こうに見惚れるほど眩い、真っ白な雲が浮かんでいました。
黒い子ちゃんはあの雲のところに行ったのだ、と思えてなりません。
自由になった魂が、きれいな空の彼方にスイスイと泳いでいったような気がしています。


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