ニエズ その2

引き続きニエズ話。
このドラマは台湾では昔から大人気の白先勇の小説が原作ですので、ストーリー自体とてもよくできているのですが、それとともに何と言っても個性豊かな男の子たちがとっても魅力的なのです。
群像劇の楽しさを満喫できるのが楽しい。
…ってわけで、主な登場キャラについて語ってみたいと思います(オヤジ世代除く)。


■まずは主人公の阿青(アチン)



優しくて真面目で、時々ふっと孤独な放浪者の顔を見せる男の子です。
弟を亡くしたこともあってか、年少者に対する庇護的な父性があって、そこが魅力。(庇護者のまなざしは母や世話になった老人の介護などにも発揮される。その心根がすごくカッコいいのだ)
范植偉(ファン・ジーウェイ)は阿青を演じるために存在してるかのような見事なハマりっぷり。
阿青を見るためだけにこのドラマを見ても損はさせません、ってくらいステキです。
なにせ顔が古い(爆)。イマっぽくないイケメン。
まとってる空気からしてガッツリ70年代の青年なんですよ。それだけで物語喚起力がハンパない。
この役を離れたジーウェイは魔法が解けたようにチャラい若手のペーペーって印象になるからわりとガッカリします(爆)。イケメンであることさえ危うくなるっつー(個人的感想ねw)
演じるということはまさしく夢を見せる装置なんだなぁと、しみじみ…。


■しっかり者の小玉(シャオユイ)



金勤(キング・チン)演じる小玉は天性のオヤジ転がし。
口が巧くて可愛くて、でもかなりしっかりしてる。柳腰でナヨナヨっとしているのに、性格は男の子っぽい。
なんだかフィギュアの羽生くんにかぶるんだけど、気のせいか(汗)。
日本に行って生き別れの父親を探すのが夢。日本に憧れていて、時折話すヨイヨイの日本語がせつないです。「瀬戸の花嫁」歌うシーンはしんみりしちゃう。
小玉を見ていると、台湾と日本の距離を想って胸がジンとするんですよ。
小玉を捨ててしらばっくれている日本人の父親が、台湾を見捨てた日本という国にまるっとかぶるせいかも。
でもね、小玉はメソメソしたりなんかしないの。恨みがましくもない。すごくポジティブに目標に向かって邁進してゆくんです。清々しくもアッパレな台湾人魂を感じます。
小玉はママとの関係もとてもステキ。
男親は子どものセクシュアリティに対して偏見がひどいパターンが多いけど(阿青も龍子も小敏も傳師匠の息子もそれゆえ父親に見放されてる)、女親…ってか女は彼らに対する理解があるんですよね。
龍子の母親も、交際は認めないけれど息子の気持ちはよくわかっていたと思うし。
ゲイに対する偏見って、女性はあまりないという実感は確かにある。


■繊細な小敏(シャオミン)



このドラマを見る前に(「花蓮の夏」とは)全然違う張孝全(ジョセフ・チャン)が見られるよ、と聞いていたのだけれど、ここまでとは!って感じ。
過剰なまでの乙女ちゃん。
唖然とするくらい繊細で優しくて気弱でメソメソした男の子を、ジョセフが実に上手く演じてる。
ホントにそういう子なんだと思っちゃうくらい。
また、ガタイがいい坊主頭…というビジュアルが、その乙女っぷりに絶妙に映えるんですよ。
奇妙で、滑稽で、可哀想で…。そう、可哀想でたまらないの。
小敏はゲイの男の子の根源的な悲しさを、図らずも体現しちゃってる気がする。
彼は本気で愛する人がいるんですよ。その愛があまりにもピュアで、さらに悲しいのです。
あんな身勝手で残酷な男のどこがいいのかまるでわかりませんが…恋というものはハタからは理解できない場合もあるってことですかね。


■お調子者の老鼠(ラオシュ)



売春宿の用心棒をやってる兄に殴る蹴るの暴行を日常的に受けながらも、飄々と受け流し、ヘラヘラと笑っている。
手癖が悪くて他人のポケットからいつもなんやかや盗んでる。
基本、ダメな子だ。でも健気な子。
老鼠は最下層に生きる若者代表って感じで、生きることそのものが難儀なんですよ。
ゲイの仲間とつるんでいるのも、拠り所になっているコミュニティがたまたまゲイコミュだからだという気さえする。女の子にやたらちょっかいを出すし。
身売りされてきた女の子を気にかけていて、しまいには身の危険を冒してその子を助ける…というシーンがあるんですが(案の定それで半殺しの目に合う)、実は私、このシーンで完全に老鼠にノックアウトされたのでした(爆)。
いつもはダメな子が、ここぞという時に見せる捨て身の騎士道精神……これにヨワイ!
めっちゃ胸キュン。私があの女の子だったら、絶対老鼠に恋してるね。
しかもだ。
演じてる呉懐中(レックス・ウー)は笑顔が最高に可愛い!
ぶっちゃけビジュアルが私の好み。ほんのちょっと偉仔の若い頃に似てる。
↓↓この目ですよ!



これが笑うと可愛くたれさがるのだ。



ぎゃーーす!可愛いひーー!!!!!
……というわけで、私の押しメン萌えキャラは老鼠でしたー。
テヘペロ


■いいとこの坊ちゃん龍子(ロンズ)



そして私がこのドラマで一番嫌いな奴がこいつですー!
愛という名を借りて自分の欲望を押し付けてくる(しかもしつこい)という最悪の男。
阿鳳の恋人だったのに、阿鳳に逃げられそうになると刺し殺してしまうという極悪非道ぶり。
「心を返せ」というヤクザの因縁より始末の悪いいいがかりをつけられ命までとられてしまった阿鳳を思うと、気の毒で可哀想で涙が出そう。
おいおい、まさかこれを愛の物語とか言わないよね?
演じるトゥオ・ツォンファは、これを若者の区分に入れちゃマズイだろ、ってビジュアルです(爆)。
まぁ、10年前の物語の人なので多少老けててもいいんかもしれんがそれにしても。
事件から10年後、公園に舞い戻ってきた龍子は今度は阿青に目をつけます。
またもや相手を束縛して自分の都合のよいように扱うんだこれが。反省してない。
阿青は阿鳳よりは分別があったので、龍子の前から早々と逃げ出せた。良かった。あれは関わっちゃいけないタイプの男だよ。うん。


■伝説の孤児・阿鳳(アフォン)



タチの悪いストーカー(龍子だよ)に目をつけられた不運な阿鳳。
帰る家もなく頼る人もなく孤独な阿鳳は、ついフラッと龍子と恋に落ちてしまうんですが、龍子のベタベタぶりを、最初は嬉しく思っていたものの、次第に不安になってゆきます。
愛とはこうも束縛されることなのか?求められるものなのか?存在ごとえぐられるようなものなのか?…と。
外部からの別れろコールも相まって、愛にウブな阿鳳には、何がどうなっているのか全くわからない。
でもツライ、ってのだけはわかる。
どうしたらいいんだよーーーーって全身で叫んでいるのに、龍子は自分の欲望を押し付けてくるだけなんですよ。で、しまいには殺されちゃう。
まさに悲劇。
演じるのが原住民の馬志翔(マー・ジーシャン)だからさらに悲しい。
なんというか、えーと、巧く言えないけど…本省人(龍子の親は政府の要人。バリバリの国民党幹部)の勝手な欲望に翻弄された、みたいな感じがそこはかとなく漂うからかな。
摘み取られた蓮の花が、それを象徴しているかのような……
うがちすぎだろうけど、私はそう感じたんですよね。
凶暴そうだけどすごく臆病そうでもあるマー・ジーシャンの目が印象的。すごいキャスティング。


■阿青の初恋の相手・趙英(ジャオイン)



阿青の放浪の全てのはじまりはこの子と学校の化学実験室で抱き合っているのを見つかったこと。
仲のいい親友…のはずが…というありがちなパターン。
淫行行為として退学させられ、わだかまりをもって別れた二人(この時、趙英は阿青のことが嫌いだという態度をとっていた)ですが、後に古書店で再開するシーンはなかなかイイ。
阿青を抱きしめ謝罪する趙英の姿が、過去のわだかまりを流し落とし、阿青が素晴らしい青春の思い出を取り返すことができたように思えたから。
初恋はほろ苦くも爽やかでなくてはね!
ちなみに演じている楊祐寧(トニー・ヤン)は……実は私、苦手なんです(汗)。どうしても顔がダメなの。
これはもう単なるビジュアルの好みの問題なんで、まったく祐祐のせいじゃないんですけどね。
ただ、萌えないというだけのことです…ごめんね(汗)
なので、実に私の好きそうなこの初恋エピがあまり胸に響いてこなかったのは残念でした。


長々と書いてきましたが、それぞれのキャラに感じたことをざっと書いてみました。
なんだかんだいって可愛い人たちばかりですよ。


色とりどりのシャツを着た小鳥たち(^^♪



こちらはみなさんの現代の姿。



おお!ジョセフの変わりようがすごい。(でも素でも一番ゲイっぽく見えたり…)
阿青…フツーの人だw あのオーラはどこにっ?


ニエズはチューブに全編UPされているので、中英文の字幕でもよいという人でしたらいつでも見られますよー。