「ディボーシング・ジャック」

ディボーシング・ジャック [DVD]

ディボーシング・ジャック [DVD]

  • 発売日: 2001/11/02
  • メディア: DVD

とってもナイスなデビシュの主演作です。早く見てしまうのがもったいなくて今まで温存してましたw
ダン・スターキーという魅力的な巻き込まれ型コラムニストが実にハマり役。
コメディなのかサスペンスなのか楽しいんだか怖いんだかわからないんだけど、結局なんだか面白い!っていう妙なノリが独特で、見たことない世界を感じさせるキッチュな作品です。
ちょっと眼からウロコだったですよ。
世の中には明るいものを描いているのにどこか禍々しく、暗い影を感じるものってのがあるでしょう?賑やかな真昼の遊園地を怖いと思ったりする感覚みたいな。そういうのはわりかし理解できる感覚だと思うのだけど…でも、その逆ってあまりない。
すごく陰惨なものを描いてるのにどこか可笑しくて楽しいってのは。だって、人間は本質的にどう転んでも暴力や殺しを明るくとらえることなどできないハズなんですから。
でも、この映画ではそれをやっちゃってる。で、うまく騙されてヘラヘラ笑ってる自分がいる。あまりの自分らしからぬ反応に愕然とする。
ポイントは、なんだろう?全然わかんない。
こんな何人も人死にが出ていて(しかも殺され方が冗談じゃなくどれも陰惨)、容赦なくドヨヨ〜ンと落ち込みそうな話なのに、なんでこんなに見終えた時に楽しいんだろうこの映画。
すっごい不思議。ヘンなクスリ飲まされたような気分だ。トリップしちゃって前後の見境がなくなってるんだね。
悲惨なことがいろいろあるのに、なぜか可笑しいのは、悲惨なシーンの次に息つくまもなく可笑しい状況に置かれたりするせいかもしれない。それで感覚が狂うんだと思う。
結局、人間は滑稽だしー神の手の上で踊ってるだけよーみたいなすごくつきぬけた諦念からくる開き直りみたいな”可笑し味”が全編を浸してるんですよ。
それがすごく私の感覚に合っておりました。


それと、これはもしかしてインテリじゃないと本質的には楽しめない作品なのかもしれない、というのを感じましたね。
いや、深く掘り下げずとも楽しめるのだけど(シューリスは滅茶苦茶ステキですからそれ見てるだけでも!)、でも、この映画のホントの良さってのは、もっと深入りしたところにあるような気がします。
北アイルランドの事情を知らないというのはまず大きな壁だし、それに加えて共同体の外側にいる人間には何がなにやらわからない隠喩が山のようにあり、英語を母国語としない人間には何がなにやらわからないジョークが山のようにあり、インテリでないとわからない皮肉が山のようにある。
本当はこうした「難しい」映画は今までも見てきてて、でも実はその難しささえ気づかずにいたのかもしれない。
この映画に関しては「無知の知」(自分がいかにわかってないかを知ること、ね)があっただけでもヨシとしましょうか、って感じ。
そもそもダン・スターキー自身が、風刺を得意とする売れっ子コラムニストですからね、セリフのいちいちがスカしてるんですよ。皮肉とギャグと隠喩の連発。全部その意味をわかろうとするのはちょっと無理。
でもこういう役、デビシュがやるととことん似合うんですよ!この人のためにあるような役。
飲んだくれだし、浮気者だし、どうしょうもない男なんだけど、とても魅力的。
カッコいいし可愛いし可笑しいし最強にチャーミング。



萌えドコロも満載です。色っぽいシーンもたくさんある。
女房とも女子大生ともナースともどれもいい感じに可愛くてセクシー。
酔っ払ったデビシュに女子大生がミントをあげるシーンは特に好き(笑)。名場面です。
ってか、あんた、吐いたあとちゃんとクチゆすいだんか?という不安がよぎりますが。


敵対組織(?)のボス役でジェイソン・アイザックス(ハリポタのルシウス・マルフォイですよ)が出ているのも見どころ!
やっぱり悪役(笑)。めちゃめちゃデスイーター。でも、マヌケなんだよ。