「黒馬物語/ブラック・ビューティー」

黒馬物語 ブラック・ビューティー [DVD]

黒馬物語 ブラック・ビューティー [DVD]

  • 発売日: 2006/04/14
  • メディア: DVD


デビシュー祭り第5弾。
動物モノは苦手で、見る前からちょっと退き気味だったのですが、シューリス見たさに挑戦してみました。
ところが、予想に反してなんとも言えぬ心温まる一編で、最後は号泣。
このお話は欧州ではポピュラーらしく、誰でも知っているとのことです。
農場で生まれた美しい黒馬・ビューティーがいろんな人の手に渡り、いろんな苦労をし、ボロボロになってゆくんですが、もはや廃馬か?という最後の時、偶然に故郷の農場で共に育った優しい少年(すでに大人になっている)に再会する事ができ、余生を幸せに暮らす、という話。
いろいろあったもののハッピーエンドになっているのが救いです。
映画ではストーリー展開のモノローグを、なんと、お馬さん自身がやってます(笑)。
ちょっと「ん?!」と思うことは多けれど(だいたいにおいて、馬の声やってるアラン・カミングがめっちゃノー天気な声出してるし)、馬を擬人化することによって、馬も人と同じようにその生涯を、いろんな経験や感情とともに生きてゆくのだ、というのがわかる。
いや、ホントは違うかもしれないけど。馬は馬独特の思考法があるのかもしれないし。
でも、リアリティは別にして、道徳的見地から考えてみれば大変に意義のある作品だと思います。
キリスト教的、しかもかなりピューリタン的な価値観に裏付けられている物語ですね。
神の元では生けるもの皆一様にそのような存在であり、動物だといって人間が勝手な扱いをしてはならないのだ、「人よ、善き人であれ」みたいなのが、しみじみと伝わるところが。



シューリスはビューティーの何番目かの持ち主となる、心優しい辻馬車の御者の役で出てきます。
ビューティーとは幸せな時を過ごしますが、体を壊して辻馬車を廃業し、療養のために田舎に去ってしまうので、途中でビューティーとは別れてしまいます。
これがまたほんとにもー涙が出るほど優しい優しい男の人で、惚れること必至です。しかも可愛らしい。胸がキュン、とします。
ケナゲな人の役をやったら心底ケナゲに見えてしまうその演技力にただただ感心。
この御者の優しく慈愛に満ちた心根、ってのはたとえ貧しく厳しい境遇にあっても人が忘れてはならない珠玉のものでしょう。
ああ、できるならばこういう人になりたい、と…じんわりと、胸に沁みました。
ですが。
最後、ビューティーと別れる時のシューリスの表情はあれだな、あきらかに演技の判断間違ったという感じ。空気が違っててヘンなんだよ。弘法も筆の誤り。
ま、こうして作品の中でちょろっとキモイ瞬間を生み出しちゃうのが、きっとこの人の特徴なんでしょう(慣れつつあります。はい)。