2022年の卒業生への餞に、中国の動画サイト「bilibili(哔哩哔哩)」が、羅大佑と易烊千璽のコラボを企画しました。
2人で世代間を越えて羅大佑の往年の名曲『光陰的故事』のニューバージョンを披露するというもの。
千璽はベースを弾いてますが、実際の歌の部分では歌うのに専念していて演奏は見られないのが残念です。
動画の初めの方に、2人の対話があります。その部分を訳してみました。
まずは動画をご覧あれ。
この夏、ゼロ年代(2000年以降に生まれた年代)初の若者たちが大学卒業を迎えます。
そこで今回、羅大佑と易烊千璽に世代を越えた対話と、かつての名曲を再演してもらうことにしました。
羅「千璽、卒業おめでとう!」
易「卒業後に感じた一番大きなことってどんなことでしたか?」
羅「自分自身の力で生きてかなきゃならなくなったら、いわゆる妥協もたくさんしなければならないということかな。君が今、直面している一番の気がかりって何?」
易「僕たちの世代は一般的にちょっと早熟で、かつては”三十にして立つ”などと言われていたけれど、今は”二十にして立つ”ことができないとちょっと不安だというのがあるように思います。
僕は早熟だろうが晩熟だろうが関係なく、自分自身をちゃんと守ることができていれば”好”熟だと思っています。人はある段階に成熟しなければならないのでしょうか?卒業は成熟を意味しますか?」
羅「実際、多くの大人たちは自分のことを大人だなんて思ってないんだよ。大人になるということは、大人のふりをするということなのさ。つまり君はもうすでに独特のモノの見方で、それがわかっているんだ。小さな頃から今までずっと信じているものはあるかい?」
易「光を信じてきました」
卒業を迎える人に、そしてすでに卒業している人に捧げます。
【二人の直筆メッセージ】
卒業之後
把自己一肩扛起!
羅大佑
(卒業後は自分の肩にかかってるよ!)
向外远眺
向内求索
取巧守拙
易烊千璽
(遠く外を眺め、内側を探求し、巧妙に実直に)
羅「大学生活に何か心残りはある?」
易「今年は卒業式がない(オンラインになった)ことが残念です」
羅大佑って、実はめちゃくちゃインテリなんですよ。
ミュージシャンになる前はお医者さんですし(一家揃って医師という家系です)、文学や芸術にも造詣が深い。歌詞の中には社会風刺や文学的な表現がたくさん見られます。千璽とコラボするのに、とても面白い存在かと思います。こういうコラボはなんだかワクワクする。
羅大佑は、2009年から2010年にかけて縦貫線(SuperBand)という伝説のバンドのメンバーでした。縦貫線は、羅大佑、李宗盛、周華健、張震獄の4人が1年間という期間限定でコラボしたバンド。
メンバーのひとり、張震嶽は私が20年以上特別に愛している台湾のミュージシャンです。
縦貫線/スーパーバンドのメンバー(左から)李宗盛、張震獄、周華健、羅大佑
縦貫線でもこの歌『光陰的故事』が演奏されていますので、ついでだから貼っておきます。
ここでベースを弾いているのが張震嶽です。
いつもはドラム担当なんですが、この曲はベースを弾いている。つまり、私の新旧の推しが羅大佑を挟んで同じことをやってるぞ!という、妙な親近感というか、ちょっとしたシンクロニシティというか…を感じて、勝手に嬉しくなってしまったのだよー…という話でした。
それにしてもこの曲、『光陰的故事』は、年を取った人間が青春を回顧する歌ですよねぇ。今年卒業する20代の若者たちの心にどう響くのかは未知数だなぁ。メロディは元気が出る素敵なアレンジになってますね!