「JAWS」

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今更説明するまでもない超有名な人喰い鮫のお話。
人喰いザメ=ジョーズ、という普遍的共通認識を生み出した名作です。
観光地のアミティ海岸で鮫に襲われた海水浴客が死亡する事件が立て続けに起こり、警察署長のブロディ(ロイ・シャーダー)は、海洋学者のフーパー(リチャード・ドレイファス)と鮫獲りの名人である船長・クイント(ロバート・ショウ)を伴って人喰い鮫を退治するため大海原へと向かう。
逃げ場のない海の上で繰り広げられる、予想を遥かに超えた強力な鮫との壮絶なバトル!スリル!パニック!恐怖!…ってのが主な内容。

恐怖映画としてどこが怖いか、とか、スピルバーグの撮影がどうか、って長いことあらゆるところで語られているとおり、いつ見ても新鮮で語り尽くせぬ魅力を秘めた映画です。
この作品は「冒険」であり「実験」であり、「前衛」的作品でありながらも大成功した「時代の変わり目」的な作品だったんじゃないかなぁーと思う。
巨匠の原点、という点でも意味合い大きいし。
映画のエッセンスは共同幻想的にも多大なる貢献をしたし。
ジョーズ」って言ったら全世界共通してこの「人喰い鮫」を思い出すに違いないもんね。
その影響力ってのは映画としてはMAXの域かも、って思う。
あの音楽と海を泳ぐ背びれだけで「ジョーズ」の世界は認識される。

この作品は「アメリカン・グラフィティ」でアタシの「大好きな友人」となったリチャードが、「惚れ惚れするほどイイ男」に変わった記念作でもありますw
リチャードの役は、「物事を理屈で考えてゆく」海洋学者のフーパーです。
対なる存在として「物事を経験で判断する」鮫獲り名人クイントがいる。
クイントがいるからフーパーが引き立つし、その逆もあるわけで効果的対比を醸し出してます。
マッチョ×頭脳人間。大男×小男ともいうか。
リチャードはなんだか坊ちゃん臭い理屈ばかりの科学者なんだけど、マッチョにバカにされながらも、不貞腐れた顔して文句言いつつ結局しぶしぶ言いなりになったりしてるとこも可愛らしく。
まだ若いリチャードの淡い栗色のカールした髪の毛とか、海の色より綺麗なブルーの瞳とか、躍動する短躯とか(笑)、髭とか、胸毛とか(爆)、そういう造形的な部分を観るのもまたたまらなく楽しく。
てなわけで、オソロシイ鮫との格闘映画の割にはアタシは随分好んでこの映画を何度も見ているのであった。
ちなみにリチャードはこの映画の出演を最初は何度も断っていた模様。理由は「撮影がハードそうだったから」。
しかしながら、この作品のひとつ前の作品で自分の演技のデキがマズすぎて先行き不安になり「やっぱやらして」って友人のスピルバーグに頼んで出演するに到ったそうな。


JAWS」のDVDにメイキング・ドキュメンタリーってのがオマケで入ってるのですが(50分ほどもあるちゃんとしたプログラムです)、作品自体もスゴイけど、このメイキングがね~スゴイの。
こないだ初めて見て、私、泣きましたもん。
例えば先の見えない仕事をしている人や、プレッシャーに負けそうな人、チャンスを生かせる自信がない人、などはコレ必見かも。素晴らしいです。
モノをクリエイトしてゆくことは人生をクリエイトしてゆくことだ、と思わせる。
そして厳しい状況下でも諦めず乗り切った人間の栄光が描かれている。

考えてみてもくださいな。
TV映画一本しか実績のない新米の映画監督が、ベストセラー小説を元に巨費を投じて作られる「ほぼ映像化不可能な作品」の監督として大抜擢される。
そりゃもう本人は自信はないし、半面、期待にこたえたくてたまんない。
「これが成功したら」と思うと自分の将来も明るいわけだもの。頑張らなくちゃ、と思う。
資金をかけてセットが組まれ、多くのクルーが連日やってくる。
けれども肝心な主人公である鮫の模型が全く動かない。
毎日毎日、ゴム製のおもちゃみたく動かない鮫を海に浮かべてはそれをつついて時間が過ぎる。苛立つ人々の視線を浴びながら。
経費はかさみ、上層部からは文句を言われ、俳優たちは立ちつくし、スタッフたちは不審にみちた表情を見せる。
それでも鮫は動かない。
やがてヒソヒソと「撮影打ち切り」という言葉が囁かれはじめる…。
この時のスピルバーグの気持ちを想像してごらんなさいな。ホントにいたたまれない~ひー(涙)。

「あんなつらい撮影はなかった」
スピルバーグは回想しておりますが、それが結局はあんなインパクトのある記念碑的作品となったのですから、スゴイ。「プロジェクトX」みたい。
何ごともチャレンジ、ですね。
焦らず、迷わず、辛い時も自分を信じてやるしかない。
乗り切るのだ!
…そんなことを教えてもらえた気分ですわ。
言い換えれば、これを乗り越えられたスピルバーグだったから、今の彼があるのだと思う。天才、ってそういうものだと。やー、感無量。

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鮫の口の中・・・すごいショットだな。
さて、この中でホントに鮫の口の中に呑み込まれてしまうのは誰でしょー?
(左から)ロバート・ショウロイ・シャイダー、リチャード。

 

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おまけ:
参考画像/チェビー・チェイスの「ジョーズ」@SNL
ジョーズ」ってーと、アタシはこの映画のパロディ・コントをNBCのサタディ・ナイト・ライブの中で嬉々としてやってたチェビー・チェイスの姿をも思い出すのですが、そういったサブカルチャー的な部分での"いじられ方"にもこの映画に"70年代的なるもの"を感じて嬉しくなる。
オシャレ、って感覚を感じるのね、個人的に(笑)。

 (過去記事加筆再掲)

ジョーズ (字幕版)

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  • 発売日: 2013/11/26
  • メディア: Prime Video