「ダメージ」

ダメージ [DVD]

ダメージ [DVD]

  • 発売日: 2006/08/26
  • メディア: DVD

これ、すごく前に一度観たことがあるのですが、「なんだか後味の悪い話だな」と思った記憶があります。
でもデビシュが出ているということで、再びチャレンジ(?)する気になりました。
ジュリエット・ビノシュジェレミー・アイアンズのこれでもかの絡みシーンの彼方に、愛しのデビシュを探す旅。


あらためて見たところ、この作品、いろいろキツイ部分も多々ありますが、ファム・ファタール物としてはわりと良くできているかもしれないと思いました。
ただ、不倫モノで終わらないところがショッキングなのですよね。
ジェレミーがずっと「ハァハァ」してたり、ビノシュの確信的な態度に引き込まれたり、途中まではなかなか楽しいのですが、それも全てあの「事件」でなし崩しになります。
非の打ち所がない好青年の息子さんの悲劇がとにかくツライ。
これは見たくない。
奥さんの嘆きは正視できません。悲しすぎる。
色恋沙汰だの不倫だのってのは喜劇でさえあるけれど、ここの家族が体験した出来事は完全なる悲劇で救いようがありません。
萎えまくりです。


でもって、そのものすっっごいダウナーな展開の真っ最中に、「それ」は現れるのです。
まずは声だけが入ってくる。
ここんとこ聞き慣れたもっさりしたあの声が。事件の尋問をしている声として。
でもっていよいよキます。(個人的に)最大の山場が!



キターーー!
むっきゃーーカワユス!
画面いっぱいオンリーユーーー。
重苦しさに耐えてここまで来た甲斐がありました。
なんと、こんなに可愛い刑事さんに逢えたよ!
ちょっとトッポくて、ポカーンとしてる様子がたまりません。癒し!
「大丈夫?アンタ新米でしょ?事件解決できるかい?」な雰囲気がベリナイスです。
しかもきっちりネクタイつけてます。コートも着てる。大好きなスタイルだ。似合うよ!!
この刑事さんにだったら朝まで尋問されたい!2人っきりで!
という、至福の50秒でした。
それにしても50秒だよ。短い…


こんな不埒な理由で映画見てるヤツが言うのもなんですが…
最後のシーンで、「年月が経ったあと、女を偶然見かけたけれど、ごく普通の女だった」というジェレミーのモノローグがあるのですが、その終わり方に、クラッときちゃいました。
ああ、うまいなぁ…と。
この最後の一言で、この映画の本質を言っちゃってるもんね。
なんでもない路傍の石がダイアモンドのように見える。
恋とは「狂い」である、と。