「龍臥亭幻想」(上・下)

 

龍臥亭幻想(上) (光文社文庫)

龍臥亭幻想(上) (光文社文庫)

  • 作者:島田 荘司
  • 発売日: 2007/10/11
  • メディア: 文庫
 

 島田荘司・著(光文社刊)


この本が出たのを知ったとき(それは一昨昨日の新聞広告でしたが)、私は感無量のあまり言葉に詰まりました。消え去ったはずの遠い景色がみるみる甦ってきた。
あれからもう8年も経つんですねぇ。
「あれから」っつーのは島田さんの「龍臥亭事件」が刊行されてから、ってことだけど(^^;)。やー、これはすっごくハマった作品だったんで、今でも目を閉じると物語の舞台が浮かんでくるんですわ。
水音のする暗く長い廊下。
そぼ降る雨に煙る桜の木。
夜風にうねる草原の坂道。
それは単なる風景ではなく、様々な人たちの思惑が息を潜めている舞台なのです。
どこかで誰かがじっと見つめている。未曾有の事件が始まる予感がひたひたと近づいてくる…。

「龍臥亭」は気に入っている作品です。
ただし、トリック部分を抜かして、ですが。謎解き部分、あまりにも「んなアホな(笑)」なので(爆)。←島田さんにはコレ、ありがちだが(^^;)。
しかしながら、ここまで納得できないトリックを使うゴーインさを差し引いても、この作品は秀逸です。
情景描写の凄さが半端じゃない。人の心理に訴えかける恐怖の感覚の鮮烈さが忘れらんない。
怖くて怖くて、夜中、トイレに行けなくなったほど強烈なシーンの連続で…でも、エンタメの面白さに終始せず、社会に対する批判的精神も息づいているとても硬派な作品でもある。エンタメなんだけど、重く。暗いのだけど、優しく。ってな感じ。

さて、その続編(なの?)が書き下ろされた、ってことで、新聞広告を見たすぐ後に書店に走って買ってきました。つってもまだ机に積んである状態。
しばらくはたぶん読む時間とれずに「積ん読(つんどく)」状態なので、「読んだよー」って人がいてもネタバレ教えないでくださいまし(^^;)。これ読む前にもう一度「龍臥亭事件」を読み返したいし。

実際、今は寝る時間もない忙しさに追われている毎日なので、どうしても読みたい本だの見たい映像だのは溜まる一方です。
だってー、昨日だって寝たの2時間よ。
4時間以上まとめて寝てないもんこの1ヶ月(別にこれ、愚痴じゃないけど(笑))。
2時間映画観る時間あるなら寝たい。
ネットなんかは細切れ時間で楽しめますけどね。どっぷり浸る必要がない活字なども。あとはせいぜいTV観るくらいか。
ま、楽しみの小箱を開けずに、ただ抱えているのもまた楽しいんでいいの。

思えば昔はまさに「貪るように」島田さんの新刊読んだ熱意のあるファンだったんだけど、いつ頃からかそんなでもなくなったんだよねぇ。
「アトポス」あたりからだろうか?私、レオナがダメなんですよね。ニガテ。
でも、島田さん自身はレオナが好きみたいなのでしょっちゅう顔を出すようになり、メインまで務めるようになり…で、だんだん御手洗モノが辛くなってきちゃった。最近は御手洗自身もなんとなく魅力減だし。
基本的に私はもともと御手洗モノよりも吉敷モノが好きです。キャラ的にも、小説のタイプ的にも。でもこちらも通子がイマイチ…どうも島田さんの書く女性って(ry。
今回、龍臥亭には島田ワールドの登場人物一同が大集合らしいので(吉敷も)、楽しみです。推理合戦でもすんのだろうか?