『大明皇妃』完走!

『大明皇妃』最終回を見終えました。

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一つの時代を見届けた!という充実感でいっぱいです。
最終回はいろんなものを回収して別の世界に旅立ってゆく…というような、見ているこちらの想像に任せる感じでフワッと閉じました。この長尺のドラマに最も合った終わり方だったと思います。
最後の夢のような船出は『ハード・ボイルド/新・男たちの挽歌』のラストシーンの偉仔に通じるものを感じましたよ。ああ、やっと何もかもから解放されて新たな旅立ちを迎えたんだね(もはやこの世の人であるのかどうかもわからないけれど)…という。

 

このドラマ、BS12で放送していて、最初は私もそちらを予録して見ました。でも、どうにもCMがウザいし居間のTVで見なければならないのが億劫で、2話を見終えずにユーネクストの方で見ることにしたのです。で、ユーネクストの無料期間が終わる日に最終回を見終えたのですが、奇しくもBS12での放送も同じ日が最終回で、Twitterをのぞいたら、BS12組の皆さんの感想で溢れていて、思いがけず大団円の祭りに参加できた感じで嬉しかったです。些細なことかもしれないけれど、「呼ばれた感」がありました。

前回、「途中までめっちゃハマってたのにいきなり別のドラマかと思うほどつまんなくなった」と書きましたが、同じことを感じた人は多かったみたい。ガラッと雰囲気が変わったところ(宣徳帝の崩御まで)で、第一部が終わったのだそうです。二部構成になっていたとは知らなかった!
二部は母親としての皇后と、思うに任せぬ子どもの成長が中心だから、まぁストーリー的にトーンダウンするのも仕方ない感じではある。二部開始後しばらくは、バカ息子にイライラさせられっぱなしで嫌気が差したのですが、そこで脱落せずに見続けて良かったです。最後に向かうに従って別の面白さが出てきて、最終的に大満足しました。別の、というのは、史実の面白さです。
土木の変と、その後の遊牧民オイラトとの攻防。一時は「万事休す!」というところまで追い込まれた明が、ギリギリのところで成し得た北京防衛。国難にあたる于謙の果敢な働き。奪門の変…
世代が変わっても身内同士で血を流しあって権力の座を求めてゆく朱家の男たちの悲しい宿命が実にドラマティックでした。これが全部史実なんだから凄い。国というものは権力者の私物に過ぎない、という描き方が実に痛烈。

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家族なのに陰謀渦巻く朱家の男たち。

映像の壮大さとかセットの豪華さとかはもちろんですが、人物造形がしっかり深く描けてる脚本にも深く感じ入りました。生き方や名言に、教えられることが多かったです。
永楽帝、于謙のキャラは特に緻密に描かれていて、その人となりが重層的に表現されてる。ホントの主役は1部は永楽帝、2部は于謙なんじゃないか、というくらい。

瞻基(宣徳帝)も、前半の主役として感情がよく伝わる生き生きしたキャラで、やっぱり私は一番好き。

彼らに比べたら、主役の若微はよくわからない曖昧キャラなんですよ。恋も反逆も子育ても国を守ることも、どれも中途半端な感じで、もしかしたら彼女は狂言回しなんじゃないか?と思うくらい。モヤモヤする…けれど、その曖昧さが周りの人を翻弄して、内なる煩悶を炙り出す役割を与えられてるようで、それはそれで逆に面白かったりします。
前半の私の楽しみは主に「若微の曖昧さゆえ、想いを抱えて内心ジタバタしながらすました顔をする瞻基の煩悶」でしたからね。
恋愛モードめちゃ低めなこのドラマにおいて、唯一萌えるターン。ラブラブの恋物語ではなくて、片思い至上主義の人じゃないと楽しめない設定かもだがw

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登場人物について思うところをいちいち書きたいのだけど、累積が過ぎてどこから手を付けたらいいのかわからずあっぷあっぷで、うまく書けません。
Twitterでリアルタイムに感想書いて楽しみたかったなぁ。こういうのって、見てすぐの熱があるときに吐き出すから面白いんですよね。

いいドラマを見たことは喜びだけれど、誰かとその気持ちを共有出来たらもっと楽しい。最近は自分の中でそういったことがなくなってしまっていたことに気づきました。まぁ、昔から手前勝手に語り倒してただけなんですけどね。「振り返り」も面白いので、これからまた初回からの流れを思い出しながら、記憶の中で反芻してこうと思ってます。(さすがに2回目を見る気力は今はないけども。とにかく長いので)

 

滑らかな北京語と胡弓や古琴の音色に包まれて、紫禁城の隅々を歩き回り、絢爛たる調度や衣装を眺め、唐詩の吟詠を聞き(お付きの女官・双喜が眠れない夜にいつも漢詩を暗証してくれるのです。これがも~すごくイイの!)、語り継がれる古の教えに感銘し、死にゆく無辜の魂の果てしない数に絶句し、かつていた人たちの人生の黄昏を見届けた数日間でした。
得難い時間だった!
ホントに見てよかったです。以前、いくつか中国ドラマに挑戦したのだけど、漫画みたいなイケメンが甘い言葉をささやくゲロ甘ラブロマンスだったり、CG過多のおもちゃみたいな映像のワイヤーアクションだったりで、感情移入が全くできなくて、「中国ドラマってこんなのばっかなの?」と、ガッカリした時期が長くありました。
でも、このドラマは別物でした。断然面白い。器の大きさが違う、って感じ。これを見ることができたのはラッキーだった。初めて中国ドラマをもっと見てみようという気持ちになりました。
タン・ウェイ(タンタン)に感謝です!タンタンが出演していたおかげで、新しい世界に出会うことができましたよ。

というわけで、見終えた今もボーッとしています。
心はまだ紫禁城から抜け出ていない。
形あるものはすべて無くなる。人の一生は風の如し。一世を争わず百世を争う…。
かつてそこにいた人々に思いを馳せながら、おのれの来し方行く末を思う日々です。

人物紹介V。前半の主な登場人物です。


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