素晴らしき哉ジョー

朝ドラ「カムカムエヴリバディ」でのオダジョーが素敵すぎて朝からトロトロしてしまう日々。
思えばオダジョーって癖のある役多いせいか、ちょっと距離を置いて見てしまいがちだったんだけど(まさに”宇宙人”)、素朴に直球で来られると「え!まってまって」という感じでいきなりソワソワする。あんまり恋愛ものに出ているのを見たことがないというのもあって、なんかビックリした。すごく新鮮。ああ、この人も恋をするのか!みたいな。そんな先入観のせいかやけに初々しいし。

今までオダジョーが演じた役で一番好き(というか唯一好き)なのが、大河「新選組!」の斎藤一だった。とにかくピッタリでズキューンとキた。

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というのも、私が新選組の中で一番好きな隊士が斎藤一だったからで、それはもうオダジョー云々ではなく、自分の中の斎藤一(のイメージの)おかげというか。そこにたまたまピッタリきたというだけかもしれなくて。だから実質的に今回の朝ドラで私は初めてオダジョーに開眼したのだと思う。放っておけばこのままオダジョーの見てない過去作品を漁りそうではあるが、そんなことをするとせっかくのジョーがまた宇宙人に戻ってしまいそうな気がしないでもない。

先日ここで渋沢栄一の老け役にムリがあった、て話をしたけれど、朝ドラでも49歳の深津絵里が18歳を演じるという、思いきった配役をやってる。あまりの衝撃に、43歳の市川実日子がハタチそこそこを演じてるのもうっかり忘れてしまいそうになる。深津絵里市川実日子もべつに今のところ違和感はないが、きっと本当の若い人をキャスティングしたら、また違った雰囲気だったんだろうとは思う。そしてたぶんその方が自然だ。自然ではないことをあえてやろうと思った理由は何だろう?
若い頃の描写はちょこっとで、老けてからの方がドラマ的に主要な部分となるというのだったらわからないでもない。でも、このドラマでは若い頃の話がずっと続いてる。49歳が18歳を演じる理由は、後々の保険ではなさそうだ。
デキる役者はどんな役でもこなせる、というのはわかる。実際、深津絵里は頑張ってる。ちゃんとるいちゃんになっている。でも、あえてこんなことする必要あるのか?と、いう思いはぬぐえない。
だって、やっぱり人間にとって年齢というものは単なる数字ではないからね。それそのものが物語なんだから。
……と、考えて、そうか。と気づいた。るいちゃんは18歳だけど、精神年齢はもっと上なんだろう。あまりにいろんなことがあって、その思いの堆積を抱えて生きるるいちゃんを演じるのに、若くてまっさらな若い女優さんでは醸し出せない雰囲気があるのだ。制作側がわざわざ深津絵里を選んだのは、きっとそういうことだ。彼女は「ウサギちゃん」と呼ばれていた20代の頃から、雰囲気が変わらない。40代であってもピュアなイメージを持ち続けている。その稀有な資質に、年齢を重ねた分の感情の層が上乗せされている。多層的で、深みを増したその存在は実に純文学じゃないですか。

カムカムは安子のフェードアウトのあり方が気に入らなくて(あれだけのことで子どもを置いてアメリカに行くような人だったか?というキャラ設定のブレにモヤって)、大阪編に入る前に見るのやめようかと思ったけど、続けて見ていて良かった。どんどん楽しくなってきた。岡山編と地続きとは思えない別のドラマを見ているよう。