真相は、愛で消える

ああああーーーとうとう「最愛」が終わってしまった!号泣!
最終回は今までの謎が全て見事に解かれたあげく、至高の愛を見ることができました。
一つ一つ過去の「箱」が開いてゆくたび、鳥肌が立った。あまりにもせつなくて、唸りながら見ました。
「真相は、愛で消える」。最初からこのキャッチコピーがすべてを語っていたのだなぁ。
登場人物のそれぞれの「最愛」が、絡み合って真実を隠してゆく様は見事の一言。

梨央のことをずっと「家族」、と言っていた加瀬さん。それは単なる表現の一つではなかった。あの日、たまたま居合わせた場所で、加瀬さんの運命も変わってしまったのね…。孤独な加瀬さんが梨央や優を見る時の愛おしそうな微笑みが、ずっと心に残っています。
人を愛するって、ただその人が笑顔でいることを守りたいと思う事なんですよね。その人と自分の関係性云々は置いておいて、その人自身が幸せでいることを願う祈りのようなもの。そのためにはなんだってやる。自分にとって不利な事だって厭わない。その覚悟が、歓びにさえなる。
「愛」と銘打って、実のところ「欲」ばかり…という陳腐な話ではない。これはもの凄く深い本当の愛の話だった。
愛の中には恋愛もある。大ちゃんと梨央の関係にはドキドキしたけれど、恋愛方向に大きくシフトしないのも良かった。あんなに切ない恋なのに、キスもない二人。それって、大きな愛に包まれた中に二人もいるのだ、と感じさせる。恋する二人は結局ハッピーエンドだったけれど、誰の想いの上でそれが成り立っているのかを、二人は十分に知っている。自分たちの幸せは、自分たちだけで得たものではないとわかっている。愛する人たちが与えてくれたあまりにも大きなものの前で、二人はそっと手を繋ぐ。だからこの二人の想いもきっとずっと続くんだろうなと思える。
大ちゃんと加瀬さんの最後の電話のシーンには泣いちゃいました。加瀬さんの、「頼みましたよ、宮崎さん」の言葉には万感の思いがあった。発する方にも、受け取る方にも。大ちゃんは、愛する梨央にも、事の真相を話さない。自分の想いとともに、渡された誰かの「最愛」の襷をしっかり握ってこれからも走り続けるのだろう。大ちゃんならきっと最後まで全力で完走するね!

最終回はあっけないほど駆け足だったけれど、必要なものは十分に盛り込まれていました。推理の最後は一気に行かないとダレちゃって台無しになっちゃうからね。解決篇、素晴らしかった!最終回なのに拡大版でもないのはちょっとガッカリだったけれど、これが最高の終わり方だったんだ、と納得しています。
最後にひとつ個人的にお詫び。
最初の頃書いた感想で、田中みな実の演技が下手で云々書いたけど、あれは訂正させて(汗)。最初は確かにあちゃーと思ったのよ。低い声出してるだけじゃん、みたいな。でも、どんどん良くなって、最後はもう完璧に橘しおりになりきっていた。彼女のどこまでも寂しく報われない感じが、とてもよく出ていた。あまりにもつらい人生を生きた彼女には、「いつもつまらなそう」にしているのが精いっぱいだったんだ、と後になってわかりました。
橘しおりという一人の女性のことは、なんだかずっと心に残ってる。悲しくて寂しくて…可哀想で可哀想で。あんな「いたずら(=糞父談)」がここまで一人の人間の人生を滅茶苦茶にしてしまうのだと知って欲しい…という作者の願いが具現した登場人物なのだと思う。だからとことん救いがないんだ。何もかも、あの「いたずら(=何度も言うけど糞父談。あれはいたずらなんかじゃない。犯罪です!)」が全ての元凶。あんなことが世の中からなくなって欲しい、というのが大きなテーマの一つでもあるよね。(何も救いがなかった橘しおりにも、愛してくれる母がいたのが最後に描かれていて良かった。誰もいなかったわけじゃない、と、ちょっと救われた)
このドラマは、こうした作者のメッセージが随所にあって、それがとても思慮深く、優しく、誠実なので、含蓄深いのです。上質なミステリーの中に、至高の人間ドラマがある。
こういう物語が書けたらいいなぁ。……てなことを呟いている人がTwitterにも何人かいました。創作をする人間としても、憧れる作品です。
来週から「最愛」が無いと思うと寂しい。久々にロスになった。でも私にはパラビがある!加瀬さんの表情を注視しながら(&大ちゃんの「好きやよ」に悶絶しながら)、もう一度最初から見るぞー!

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