人生、七味とうがらし

「うらみ、つらみ、ねたみ、そねみ、いやみ、ひがみ、やっかみ」は人を翻弄する七つの性(さが)。人生、七味とうがらし。いずれも他人と自分を比べることから生まれる業であるけれど、これらと向き合うことで人生の味わいも一層深まる…とな。
今日の「折々の言葉」(朝日新聞のコラム)に出てた言葉です。
これ、特に出所がある言葉じゃなさそうなんだけど(前にもどこかで聞いたことがある)、ウイットに富んでて素晴らしい出来栄えですね。

「折々の言葉」は楽しみにしてるコラムですが、以前、弟の言葉が載ったことがあるんだよ。驚いたね。
いつの間にか自分の言葉が名言になるような立派なヒトになったんだなぁ…と。ちょっと羨ましかった。
可愛い弟だから「ねたみ」は無いけど、逆に自分の無能に「ひがみ」がちになったかも。まさに”人生、七味とうがらし”だねぇ。


【本日のSS】


お題:0016

「ペットボトル」

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夏休みの図書室はクーラーの効きが弱い。
汗がポツリとノートの上に墜ち、マーカーが滲んだ。
「暑っつー」
呟くと、隣の席から涼しい風がやってきた。
「ほら、ちょっとは涼しいでしょ」
彼女が仰ぐ団扇の風が心地よかった。

夏休み最後の自習室解放デーは混みあって満席だった。
片想いの彼女が偶然隣に座ったのはまさに奇跡。
その彼女がジャニタレの顔がついたどデカい団扇で風まで送ってくれるなんて、めちゃくちゃ嬉しかった。
天王山の夏休みを猛勉強で過ごした自分への神様からのご褒美だ。

「ちょっとこれ、もらってもいい?」
僕が返事をする間もなく、彼女は僕の机の上のポカリスエットを手に取り、そのまま口をつけてゴクゴクと音を立てて飲んだ。
細い指、赤い唇、上下する白い喉…
ああ…眩暈がする。

「ありがと」
返ってきたペットボトルの飲み口は微かに赤く染まっていた。
その瞬間、天井が回り、僕は盛大に椅子から転げ落ちた。
くらくらしてるのはキミのせい?それとも熱中症

(410文字)

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「ジャニタレの顔がついたどデカい団扇」ってのが今回一番書きたかったキーワードですw