SSが溜まりまくってしまったので、まとめて書きます!ひー!
ちょっと溜めこむともー大変だねこれ。自分との闘いじゃー。
【本日のSS】
お題:0015
「コンクリート」
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新盆で郷里に帰った時の事。
祖母の生前の持ち物を整理をしていたら、可愛らしい缶がでてきた。
中には端切れで作った小物や絵はがき、手紙や若い頃の写真などが入っていた。
「おばあちゃんの思い出箱だったんだね」
母が愛おしそうにつぶやいた。
可愛らしい小物の中に、武骨なコンクリート片が入っていた。
「これ、何?」
「ああ、それね、新婚の時に住んでたアパートの欠片。空襲で壊されて、欠片だけ拾ってきたんだって。ずっと大事に持ってたよ。大好きな家だった、ってよく話してくれたわ」
祖母は東京の空襲で住処を失った後、故郷である群馬の実家に身を寄せた。
出征していた夫は、終戦の前の年に戦死の報が届いたという。
彼女は自分の生まれたこの家で生涯を過し、昨年天寿を全うした。
コンクリートの欠片をそっと握った。
掌にちょうどおさまる小さな欠片。
大好きな人と過ごした時間をずっと心にとどめた祖母の想いが心に沁みる。
掌が、フワッと暖かくなった。
(415文字)
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今日は終戦の日。
大上段に構えるわけではないけれど、少し、そんな背景を思って書いてみました。