コリン・ファース出演作もろもろ

結局のところ、オチそうでオチずに終わったコリン祭りでしたが、いろいろ観たDVDの感想も書かずに終わってしまうのもアレなので、簡単に書いておきます。ヨロメキ記念に。


■「ぼくのプレミア・ライフ」

ぼくのプレミア・ライフ [DVD]

ぼくのプレミア・ライフ [DVD]

  • 発売日: 2007/01/24
  • メディア: DVD


原題は「FEVER PITCH」(=熱狂)。
コリン・ファースの出演作を見るたびに思うことは、「どうしてこう「こんな男とはつきあいたくないなぁー」って思うようなキャラクターばかり演じてんだろうか?」ってことです。
たまには、すっごい憧れをもっちゃうような私好みのオトコのヒトを演じてはくれないものだろうか?
どれもキャラとしてはいい役なのに、絶対恋人や旦那にはしたくない。他人だったらいいんだけどねぇ。
(「高慢と偏見」のダーシーもあのキャラはとーっても好きだけど自分の相手としてはイヤ。だって無口で憮然としてて冗談の一つも言えないんですよ?勘弁してー)
この映画の主人公サッカー馬鹿教師も、愛らしいけれど自分のカレシにすんのは絶対にお断りなタイプ。
でも、赤毛の巻き毛がすんご〜くイカしてる。セクシー。そこは見どころ。



赤毛って、ツボなんですよ。
コリンって赤毛じゃないですよね?これは染めているのかなぁ。


■「真珠の耳飾りの少女

真珠の耳飾りの少女 通常版 [DVD]

真珠の耳飾りの少女 通常版 [DVD]

  • 発売日: 2005/01/25
  • メディア: DVD


フェルメールです。ロンゲ。なかなかステキです。
その人の気持ちを推し量るには、気配を察するしかない。
画家は非言語の世界の住人です。そこで相手との距離を測るのは、自分も相手に対しては言語を捨てなきゃなりません。ツライ。
非言語的な行動(絵のモデルとして見つめられる、並んで乳鉢を擦る、ピアスの穴を開けられる、など)から想像力を駆使してむこうの気持ちを感じ取るしかない。
そこでは”だるまさんが転んだ”レベル(「気配は動いているのに動いて見えないがしかし確実に近寄ってきている」、みたいな)の遅速さで感情を絡ませ合ってゆかなくてはならないの。ボーーっとしてちゃダメなの。恋も一苦労だ!
その息詰まるような凝視の関係こそがエロ、ってもんなのですが…
疲れます。
見終わる頃にはへとへとです。
言葉でしか思考できない自分が果てしない孤独を感じるひとときでありました。
スカーレット・ヨハンセンは、あんな小間使い、絶対我が家に来て欲しくない、ってタイプです。(私がその家の主人ならきっと手を出す、と思うほど奇妙な魅力に溢れてる!エロいのに透明感があって可愛くて痛々しい。)



どうでもいいですけど、実は私も旦那にピアス穴を開けてもらったのですが、あれはねぇ…強烈な記憶です。処女を失うより処女喪失感があります。上手くいえませんが、自然な行為ではなくて、すごく従属的だったり被支配的だったりする。M気質のヒトにはいいかもしれませんが(私は違う)、いまだにアレを思い出すと複雑な気分にモニョります(汗)。


■ 「スプリングガーデンの恋人」

スプリング・ガーデンの恋人 [DVD]

スプリング・ガーデンの恋人 [DVD]

  • 発売日: 2005/07/20
  • メディア: DVD


これ、地味です。深夜にテレ東で放送してるような映画でした。
「スプリング」に「ガーデン」に「恋人」だから春色ハッピーラブコメディ♪なんてのを想像してましたが、全然違った。
こういうどうってことないラブコメって、実は私のお得意分野なんだけど、同じようなものをイギリス人が作ろうとしても、こうも見事なまでにハズしてしまうんだなーというのが衝撃的でした(え?偏見?)。
舞台はアメリカなのにまるでイギリスのようにどんよりと曇った、ハジケ度のえらく低い場所です。
空気がすごく湿ってます。重い…空気が重いよ。しっとりしてるよ。登場人物の笑顔も重いよ…ハジケてないよ。
ストーリーの単純さは決してつまらなさとは結びつかないものです。
単純だからこそ、いくらでも面白いアイディアを入れられるのよね。そうならないのは料理が下手だということでしょうねぇ。慣れていないというか、なんだか中途半端なんですよね。
キャラ造形、シチェーションの運び、ノリ、雰囲気、音楽、背景…なんだかみんな中途半端です。
コリンもかなり痛々しいです。
マフラー乳首巻きダンシングシーン等のおふざけもスベってます。可哀想なくらいですよ。
このヒトにアメリカ人の役(じゃないけど、そういうノリのもの)を演るのは絶対に無理だと確信しました。そしてこの気づきにより、アタシのほのかな恋も終わったんだと思います。
オマエそんなにアメリカ人がいいんか?って話ですけどね(汗)。好きなんでスもん、しょうがないじゃん。
ま、アタシにとってアメリカ人ってイコール、トム・ハンクスですけどね。
この作品ほどトム・ハンクス恋しさがつのったものもない(なにそれ)。


■「秘密のかけら」

秘密のかけら [DVD]

秘密のかけら [DVD]

  • 発売日: 2006/05/27
  • メディア: DVD


往年のショービズ界における、ドラッグと乱交とスキャンダル、って話はなんだかもうすっごく好きです。
この話は50年代のショービズ世界の裏側で起こった一つの隠された殺人事件の真実を、15年後にジャーナリストが暴いてゆく、というものなんですけど、いろんなことに想いを馳せながら観てしまいました。
チャップリンとか、アーバックルとか、ハーストとか、ブラック・ダリアとか、マリリン・モンローとか、ウォーホルとか、チャールズ・マンソンとか、ジョン・ベルーシとか。めくるめくハリウッド・スキャンダルの数々が浮かんでは消え。
ああもう、なんて事実は小説よりも奇怪で魅力的なのだろうかね。
スターの私生活や性格などが巧みに隠されている時代は、実像と虚像が大きくかけ離れているわけで、より刺激的な物語が生まれる。
スターが庶民と同じだなんて、そんなのちっとも面白くない。物語の無いスターなんて!てか、スターって存在はそのものが物語でなくてどうすんの。
話は変わるけど、エジだってこれで永久にスターだ(良くも悪くも)。それを世間の常識で語って眉をひそめている人ってどうなの?と思う。
昔のヒトは「ゲーノー界なんて怖いところ」って言っていた。それがこちら側の感覚であるべきだと思うし、こちらのモラルはあちらでは通用しないと信じてたほうがいいと思う。事実はどうあれ。
あちら側では、事実など意味が無い。事実なんてもんは所詮セシリアの大股開きだったりするわけですが、だからどう、ってこともない。さすがだ、やっぱり。と思うだけ。セシは被害者でも加害者でもない。これが虚構の裏側だよとカラダ張って教えてくれた人身御供かもしれない。あんたたち勘違いすんなよ、と。アタシは隣のお姉さんなんかじゃないんだぞ、と。
あれで香港の子供たちもゲーノー界って怖い、と本能的に悟り、華美な虚構世界に憧れずに、まじめに勉強してちゃんと地道に生きてゆける子が一人でも増えたなら良かった。
ゲーノー界ってのはこことは違うどこか別の世界。
モニターやスクリーンは「境界」だ。その境界が無くてあっちとこっちが地続きだったら、そもそも私はそこにいる人に惚れたりはできないね。


って、ついつい熱くスター私論を語ってしまいましたが。映画の話に戻ります。
この作品のコリンは、俳優として今まで見たものの中では異色で、「お!新境地?」って感じのものでした。なかなか良かった。
コリンはコメディアンコンビの相棒・ケヴィン・ベーコンに密かに想いを寄せてるのですが、その哀愁がたまらない(そもそもよりにもよってケヴィン・ベーコンに夢中ってこと自体がとてつもなく哀愁)。
1950年代の社会ではゲイであることなんて、絶対にタブーだったらしく、コリンの持つ気持ちは重いんですね。
3Pしてる最中、どさくさまぎれにケヴィンのバックに挑んだもののケヴィンの猛烈な拒否を浴びて顔面蒼白というシーンなどはもう、実に上手かったです。
コリン、ダーシー風味以外の役だってできるじゃん!ちょっと株が上がりました。
映画は映画としてなっていなくて(刑事コロンボみたいだった。画面構成とかストーリーの流れとかが。TV映画っぽい)ちゃちい作品ではありますが、コリン目当てで見るならこれはアリ。