「マイケル・コリンズ」

マイケル・コリンズ 特別版 [DVD]

マイケル・コリンズ 特別版 [DVD]

  • 発売日: 2007/11/02
  • メディア: DVD


アイルランド独立運動を指揮したカリスマ政治家、マイケル・コリンズの実話を映画化したものです。
1916年のイースター蜂起から1922年のアイルランド自由国成立→内戦勃発にいたる動き(コリンズの暗殺まで)を描いてます。
えーと。アラン祭りの一環でのセレクトだったんですけど、私はもともとこういった政治運動家のお話ってのがとても好きですし、アイルランド問題にも関心があるので、興味深く観る事ができました。
伝記モノとか史実モノという「縛り」がどうしてもあるので、ドラマとしてはわりと淡々としているのですが、史実ゆえの臨場感もあり、引き込まれます。
多少でもアイルランドの歴史、登場人物の経歴等を知ってると見やすいでしょう。
いろいろ思うところはありますが、いかんせんいまだに根深いしこりが残っている微妙な問題なので、ここで私が短絡的に思ったことをあれこれ言うのはよしておきます。


というわけで、ここではアランに関してだけ書いとく。
おおっと!主役のマイケル・コリンズ役はリーアム・ニーソンがやってんですよ。
相変わらずの「頼りになる愛らしくも強いリーダー」モード全開です。
もう、この人の場合こんなんばっかりなんで出てくるだけでキャラがだいたい把握できる気さえします。そのまんま。


アランはコリンズの同志にして盟友、しかし後に袂を分かつ政敵となるデ・ヴァレラを演じてます。もちろんこの人も実在の人物です。

デ・ヴァレラはアイルランド共和国第3代大統領になる人。
複雑な生い立ちや性格を持っていて、映画の中でちょこっと出てくる刑務所内のミサのシーンで侍者をしてたりするのも、神経質そうな態度をとるのも、この人のキャラには欠かせないものだったりします。
政治家としての評価はいろいろでしょうが、自由国成立後に内戦状態に持ち込んだ功罪は大きいと言うのが一般的な評価のようですね。
が、これもものの見方によるのでしょう。武装蜂起ひとつとっても、それをテロとみなすか革命とみなすか戦争とみなすかで違ってくるし、それぞれの立場によっても違ってくる。単純な善悪の判断では収まらない様々な要素が絡み合っている。難しいです。
ただ、どんな思想があれども、暴力が暴力を、混乱が混乱を生み、多くの血が流れているという状態があることだけは事実なワケですよね。悲しいことです。
デ・ヴァレラはコリンズとはタイプも能力も価値観も違いますが、彼もまた国を思う政治家として怒涛の人生を歩み、いくとこまでいった稀有な人なのだ、ということを思います。
しかしながら、ホントにこれ、アランにうってつけな役ですね。
て、そう思わせるアランがすごいのか?特にカッコよかったりってのはないけど、キャラが立ってて安心して物語に入ってゆけます。



群衆の前で演説するデ・ヴァレラ。
このシーンはなんだかドキドキしました。コリンズの演説シーンもよかったなぁ。
私はどうもこういった政治活動家の演説風景なんぞを見ると妙に胸が高まり惹かれちゃうのですけど、それはたぶん、言葉の持つ力で多くの人の心を掴んでゆく現場を目の当たりにできるせいかもしれません。
この映画の中でも、コリンズの演説に惹かれて、命を張ったスパイ役を買って出るGメンがおりますが(スティーヴン・レイが好演。この映画の中ではこの人が一番、魅力的な演技をしておりました。グッときた!)それだけの演説ができる時点でそもそもコリンズはカリスマだったんだろうなぁと思いますね。
政治的熱狂とはどんなものなのか、実際に体験したことが無いのが残念です。
もはや政治はそのような形のものではなくなってるんでしょうけれど。
大衆から興味も関心ももたれないような空疎な演説しかできない政治家など論外だと思いますよ。
ま、そんなでも政治家が食っていけてる今の日本などは平和な証拠っていやぁそれまでかもしれませんが。