闘病中ヘビロテしていたもの

アシュケナージの弾くショパンは、今まで、正直言ってどこがいいのかわかりませんでした。
このヒト、ショパンはダメじゃん?とまで思ってた。
(ついでに言うと得意だという売りであるラフマニノフも、2番コンチェルトに関しては個人的には許しがたかったりするが)


ところが、眼病闘病中(目が見えない。寝たきり。おそろしく心細い。意気消沈という状態の時)に聴いた彼のショパンにグッと来てしまい、病床ではずっとそればかりを聴いていました。
角膜剥離のおかげで初めてアシュケナージが弾くショパンの良さを感じることができたわけね。
人生いたるところに青山あり、ですな!…ん?


以前、アシュケナージ(とパールマン)の演奏を「(キャンディ・キャンディの)アンソニーの薔薇園のような」てなことを書きましたが、やっぱり、どこかそういうイメージがあるんですよね、私。
たとえがアホっぽいですが、要するに全体的に乙女チックに思える。
本人が乙女っぽいっつーわけではなくて、いかにも「乙女が好きになりそうな王子様の音」、ていうかね。上品で優しげな。
つまりヴォロージャ(アシュケナージ)はアンソニーだ、と。
(あ、えーと…若い頃の姿で想像してみてください(汗)。)
このお育ちの良さそうな優等生風情ってのはたぶん、ノンレガート気味のポロポロした弾き方にあるような気がします、たぶん。
何か抑制的で端正で…そのぶん「ダダ漏れ」な情熱(エロとも言う)があまり感じられない。
イロケはないんですが、ロマンティックだし、リリシズムみたいなものがあるんですよね。
ぶっちゃけアシュケ氏とリリシズムって水と油じゃないの?って感じなんだけど…たぶん本人も意図してるわけではないと思うんですよ。楽譜どおりに弾いてたらこうなっちゃった、みたいな天然ぶりです、雰囲気としては。
ま、それでやれちゃうっつー天才的に器用な人なワケですが。


最高にステキなのはこちらのアルバムです。夜想曲集

ショパン:夜想曲全集

ショパン:夜想曲全集

あ、でも(夜想曲の)8番、10番は私の中ではキーさんのものです!
この2曲は私の中でキーさんのテーマに属するんで(^^;;。
それ以外の曲に関しては…私の場合多分、弱ってる時(それもよっぽどな時)にはヴォロージャを、元気な時にはキーさんを所望するような気がします。
キーさんはね〜、とにかくグングン手を引っ張ってってくれる人なんですよ。
もう、自分勝手なほどに強引にね。
翻弄されるヨロコビみたいのを感じるわけです。
対してヴォロージャは、邪魔にならないように窓辺で歌ってくれるような演奏する人なのです。
でもって、しばしば弾いてくれているのも忘れてアタシは寝入ってしまう…というユルさ(心地良さとも言う)。
だから病床には適してるのですね、きっと。


おっと、ちなみに画像はショパン小品集。ヘビロテしてた一枚です。ジャケ写がイケてるので載せてみました。