3年ぶりのリサイタル

行ってきました!
久しぶりの溜池。



カラヤン広場のお花もキレイ。
広場前の店舗が様変わりしておりました。サブウェイが3Fに移動して、アンデルセンやスープストックが入ってた…
大好きな「AUX BACCHANALES」(ここに寄るのもサントリーホールに来るときの楽しみなのです♪)のブーランジェリーで明日の朝食用の惣菜とパンを買ってからホールへ。
ホールは改装後初めて訪れました。2年ぶり?



ステージにはピアノが一台
そう。今日は「例のあの人」のリサイタルです。
って、なんかもう「名前を言ってはいけないあの人(by ハリポタ)」なノリですが(^^;;)
正解はキーさんのリサイタルですよ。
なんと3年ぶりの来日です。時代の流れの速いこのご時勢、3年つったらちょっとした「一昔前」ですよ。
長いね。
待つ時間が長すぎて最近はもうものすごくフラットな気持ちになっていたわけだけれども(汗)、それでもやはりこの人のリサイタルは特別です。
行ってよかった。ホントに素晴らしいステージでした。


プログラムはプロコフィエフショパン
キーさんが神童と呼ばれていた頃によく弾いていたイメージが強い作曲家の取り合わせ。
ロミオとジュリエット」から3曲。
これはものすごくドラマティックでした。選曲、いいなぁ。
続く戦争ソナタもキレのよい「動」の演奏。左手が強いから迫力満点です。
水を打ったように静まりかえった観客たちは、やがて闇に沈むようにその存在感を消し、ものすごい勢いで音を繰り出してゆくステージの上のキーさんだけが浮かび上がっていきます。
遠い遠い空の星が、暗い夜の海に映っているのを見るような…そういう、時間も空間も二重に違うものに対しているような不思議な感覚に包まれます。
たった独りで、いつも彼はそこにいる。そこにいるけれど、とても遠い。


ショパンプログラムは幻ポロ、マズルカ、練習曲。
練習曲は特に良かった〜。
好きな曲ばかりだったし、これでもかのヴィルトゥオーゾを堪能できるのですごく楽しかったです。ご本人もとても楽しそうに弾いてました。


アンコールはなんと9曲!
相変わらず「第3部」健在です。スゴイ。
アンコールもプロコとショパンでしたね。有名な曲ばかり。
でも1曲だけ知らない曲がありました。「兄さん、ピアノ壊れますぜ」的なやたら激しい曲。プロコの「悪魔的暗示」って曲でした。
アンコールは何が出てくるかわからない福袋みたいでワクワクしますね〜。


今回、ワタシにとってサプライズがあったのです。
実は私、願わくばいつかきっとキーさんが演奏するのをこの耳で聴きたい…との思い入れがある曲が2曲あるのです。
シューマンの「献呈」と、ショパンの「夜想曲10番」。
いわばマイ「キーさんのテーマ」かな。
でね、今日のアンコール、最後の一曲がこのショパンの10番夜想曲だったのです!
ところがですよ、なんと私、この曲だけ聴けなかったのです(涙)!
これ以上ホールにいたら終電に間に合わない、という時間ギリギリまで粘っていたのですが、アンコール8曲を終わった時点でタイムリミットだったの。
もう、これ以上は演奏ないだろうな、あってももう残念だけどパスだ、と思って席を立ちました。
ロビーのモニターではステージに戻ってきて9曲目のアンコールを弾き始めるキーさんの姿が…
そしてそのスピーカーから耳に届いたのが10番夜想曲だった、というわけ。その驚きたるやもう!しばし呆然。


これを旦那に話したら「うわー。呼ばれなかったねぇ」と言われたのですが(いや、誰でもそう感じるよね。残念だったねーと)でも私自身は残念ではあったけれど「呼ばれなかった」とは思ってないんですよ。
むしろ反対で、キョーレツに「名指しで呼ばれた」感をひしひしと受けたのです。
今日ここでこの曲を聴いてしまったら、もしかしたら私は自己完結してまとまっちゃったように思うのです。
(キーさんの演奏会に関しては)もう、これでいいや。と、自分の中で区切りをつけたかもしれない。
ぶっちゃけそんなつもりもあって出かけた演奏会だったのです。足を運ぶのはこれが最後かな、みたいな。
でも、全然「もういいや」な気分じゃなくなった。演奏会そのものが良かったというのももちろんもあるけれど、何よりもこの運命の一曲のせいで、まだまだキーさんの演奏を聴きたい!という欲が出てきた。
この2年、キーさんには何の執着もなかったのに、この思いがけない不全感で、かつてあった執着心が呼び起こされたように思います。
もしかしてキーさん、私をひきとめてくれたんじゃないかな?なんて思ったりw


そうそう、キーさんは見事にお痩せになってましたよ!
3年前は「ロシアの大男」風に逞しく肉付いてきたなーという印象でしたが(このままこの人は巨大化してゆくのか…と若干心配だったほど)、今回はその時のタップリな感じが薄らぎ、心持ちホッソリとした顎のラインにはかつての少年の面影さえ取り戻しておりました。
プログラム(ショパン)のせいか、演奏するときの身のこなしも軽やかです。少年時代の上体グルグル演奏の名残も垣間見られたし。
なんかね、若返ってた。ちょっとびっくり。
相変わらず写真写りがメタ糞悪い人なので、そのビジュアルを媒体で見る限りでは「あちゃー」な人なんですが、実物は全然違いますよ。
ステキな人です。
とはいえ雰囲気は決してそこらにいる普通の人ではないのよ。そこがまた魅力。ちょっとオーパーツっぽい(?)。
そういう意味でもナマステージを観る価値がある人です。いやホント。



今回のツアープログラムです。
3年振りなのにとりおろし写真は無し、ってのはいつものことか。
B6版の小さなものです。最近はこの版が主流かな?多いよね。


ところで!このパンフの中で大ニュースを発見しました!!
これ↓


EMIの広告なんだけど、去年ロンドンでやったボロちゃんとのプロコ協奏曲ライブCDが出るそうですー!うわ〜い!
発売は5月27日。今すぐ予約しなくちゃっ。
なんと!イブニング・スタンダードの評ではボロちゃん、「(キーさんに匹敵するほど)見事な演奏」と書かれてるではないすか。
うわー(←あえてコメントなし(^^;;))。
聴くのが楽しみです。



リサイタルの曲目


プロコフィエフ「ロメオとジュリエット」からの10の小品
「少女ジュリエット」「マキューシオ」「モンタギュー家とキャピュレット家」
プロコフィエフピアノソナタ第8番 変ロ長調「戦争ソナタ
ショパンポロネーズ第7番 変イ長調幻想ポロネーズ
ショパンマズルカ 30-4、41-4、59-1
ショパン:12の練習曲Op.10より 第1番、第2番、第3番「別れの曲」、第4番、第12番「革命」
ショパン:12の練習曲Op.25より 第5番、第6番、第11番「木枯らし」


(アンコール)


1 ショパン「ワルツ7番」
2 ショパン「子犬」
3 プロコ「3つのオレンジへの恋」行進曲
4 プロコ「悪魔的暗示」
5 ショパンマズルカ40番」
6 ショパン「幻想即興曲
7 モツ「トルコ行進曲
8 ショパン「ワルツ14番」
9 ショパン夜想曲10番」


2009年4月23日(木)サントリーホール