「恋は負けない」

 

恋は負けない (字幕版)

恋は負けない (字幕版)

  • 発売日: 2013/11/26
  • メディア: Prime Video
 

 若い。とにかく若い。いいなー若くて。私ももう一度18歳になりたい。ジェイソン・ビッグスの映画を観るたびそう思う。いかんなー。
ああ…イイ…。うるうる。
ジェイソン・ビッグスって、逸材ですねぇ(多分、私にとってはすごい掘り出しもの)。なんでこんなに愛らしいのだろう!んもー、決して好みの顔ではないのだけど、好き。大好き。
「アメパイ」でジェイソンにハマって、この映画にたどり着いたわけですが(共演のミーナ・スバーリも「アメパイ」組!豪華。)、ここでもまたジェイソンは特異なオーラを発散しておりました。
ひとことで言えば「無垢」
この映画は、ジェイソンがたぶんもともと持っているであろうその資質を、さらに強調したような(強調しすぎて痛々しい域までイっちゃってるような)作品。

 

田舎の優等生ポール(ジェイソン・ビッグス)は奨学生としてNY大学に入学する。おしゃれのセンスも悪く、ノリも噛み合わず、(成績が落ちると奨学金を止められてしまう為)勉強ばかりしている田舎者のポールは同じ寮の金持ちのドラ息子たちにイジメの標的とされてしまう。
そんな時、出会ったドーラ(ミーナ・スヴァーリ)という女の子。彼女は孤独なポールにやさしく微笑んでくれたのだ。ドーラを好きになるポール。けれど、ドーラは大学のオルコット教授(グレッグ・キニア)とつきあっていた。ドーラがオルコット教授にとって単に「都合のイイ女」でしかないのを知りながら、ドーラの教授に対する恋の想いを思いやり、ポールはドーラを諦めようとするが…という話。

 

ロマコメ青春モノの分類に入るでしょう。
要するに私の最も好きな分野であるわけですが…
最後はちゃんとハッピーエンドになるってのはわかっていながらも、そこに到るまでの道のりがちょっとした修行(笑)。原題の「ルーザー」ってのは負け犬、っていう意味なんだけど、いじめられているポールは本当に惨めな感じ。
この映画は「いじめ」の酷さと、それにもめげずに最後まで徹底して「いいひと」であるポールっていう悲しいまでの「頑張れポール物語」なので、とにかく最後は幸せになれると信じて、観客もそこんとこ耐えるしかない。優しくて心底イイ人を利用しまくったあげく苛める人間の冷酷さと、酷いことをされているにも関わらず、人間は本来良き者だから、と信じて「イイ鴨」になっちゃってる無垢な人間への怒りで、手に汗握る(爆)。
下手な不良映画よりよほどリアルで身近にありそうなこの「いじめ」にはホント、胸糞悪くなるの。
コメディらしい陽気なシーンも、ミーナ・スヴァーリの愛らしさも、このいじめの前で完全にかすむ。
「いいひと」ゆえに(っていうか、ボケてるとしか思えないのだが)ポールが翻弄されながらも無垢でい続けることだけが救いになるんだけど。
ね?わりとヤな映画でしょう?(笑)そこさえ耐えられればすごくいい映画。

たぶんここまでコテコテにやらなくても、ジェイソンは美しい心根をちゃんと表現できると思うだけに、(この主人公が)気の毒でねぇ。ま、いいですけど。結果オーライってことで。
その場が汚ければ汚いほど美しく見えるものというのはあるわけですし。
この映画におけるジェイソン・ビッグスはまさに掃き溜めの鶴、汚泥の白百合、ゴミ置き場のダイアモンドのごとき存在となってます。
否応なしに惹かれちゃう。私もコレで完落ち、って感じですし(笑)ジェイソンにとっては「出て正解」な作品でしょう。

いじめの部分を抜かせば、わりと胸キュンでカワイイ映画です。
ミーナ・スヴァーリがとってもチャーミングで、彼女を目で追うポールを見てるだけでもポワンとしちゃうし、二人の楽しそうな貧乏デート風景などは「若いっていいなぁー」と溜息がでちゃうほどキュート。
ジェイソンの、「アメパイ」では決して見せなかった「優等生顔」もイカしてる。でもって、思いがけずセクシーなのね!と気づかされドキドキする表情も見られる。お徳。

 

f:id:freaky47:20200430004736j:plain

(左)アメパイでのダサダサジェイソン。(右)ルーザー(本作品)での優等生モード。この落差にクラッとしちゃう!


音楽もいいです。
曲の使い方が印象的で胸に染みたのは
1)秋のNY大学構内を孤独とともに過ごすポールの様子を描くカットの後ろに流れるサイモン&ガーファンクル「スカボロー・フェア/詠唱」と、
2)元気出して仕事探しに街に飛び出してゆくドーラの笑顔とともに流れるエルヴィス・コステロの「Welcome to the working week」でした。
ポールのほうは、「秋、孤独、NY、文学」の4拍子そろったらもはやポール・サイモンしかありえないでしょう、というベストな選曲だし、ドーラは見た目がロンドン・パンクなので、コステロのブリティッシュ風味が滅茶似合うの。音楽担当者のスタンダードなセンスのよさを垣間見た気がして満足!

あ、それと。
ポールの父親役でダン・エイクロイドがカメオみたいに出演してるんですが。
あえて言おう。このダニー、全然似合ってない!ミスキャストでしょうな。だって、ポールのパパに見えないんだもん全然。かもし出す雰囲気が、不良(笑)。
親戚の叔父さんにさえ見えないのは「血」も違うからだと思う。ジェイソンってワスプのアメリカ人ではありえないし、ダニーはアメリカ人でさえないわけだからねぇ。
ダニーの老けぶりはわかっていながらも軽くショックだし(哀)。