「キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン」

 

キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン (字幕版)

キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン (字幕版)

  • 発売日: 2013/11/26
  • メディア: Prime Video
 

もうね、アタシの場合トム・ハンクスが出てれば何でもいいんで、作品の良し悪しなんてのは正しく把握できませんし、まるきり盲目状態なんですが…これ、と~っても面白かったです。
ただもう、純粋に楽しんじゃってOK!って感じの、スカッとした作品でした。胃もたれ全くナシ。
トムは相変わらず身悶えしたくなるほどカッコいいしね~♪
しかも、ずーーっとスーツなんだよ。60年代風の、スタイリッシュなスーツ!これがまた恰幅がいいから限りなく似合うんだよぅ。メガネも素敵。ぽ。やっぱアタシの理想の男ナンバーワンの位置はトム・ハンクス(・∀・)。

 

16歳から21歳までの間に世界26カ国をまたにかけて、総額400万ドル(約4億8000万円)を稼いだ実在の詐欺師:フランク・アバグネイルの自伝の映画化です。(この自伝は、日本でも「世界をだました男」というタイトルで新潮社から出版されているようです。)
若き天才詐欺師のフランクをレオナルド・ディカプリオが、それを追い続けるFBI捜査官カールをトム・ハンクスが演じてます。
でもって監督がスピルバーグだから、「最強タッグ」ってなことで話題になってますが、逆にこういう宣伝の仕方って映画ファンの人の食指を動かさないような気がして残念ですわ。そりゃ確かに大衆的かもしれんけどね。
フランクの父親役はクリストファー・ウォーケンが演じてました。
ウォーケンの演技はさすがに巧いよ~。脇でこういった巧い人がいると作品の締り度が違いますね。

詐欺師のフランクは、パイロット、小児科医、弁護士…と次々と姿を変えて、巧みなやり方で小切手偽造をしてゆくんですけど、この「七変化」のレオがまず一番の見どころでしょうかね。
ファンはオイシイだろうなぁ~と思う。羨ますぃー。
インタビューでトムは「レオばっかりズルイ!こっちはずーっと背広だけなのに、レオはカッコいい衣装を次々と着替えるんだよ。きっと俺のが似合うのに…」などと愚痴ってましたが(笑)、トムの嫉妬(?)も無理ないほどレオは楽しそうに七変化してんだよ。
パンナムの制服や白衣やイタリー製ニットやペリー・メイスン風弁護士スーツに身を包んだ姿は、実に華やか。
でもね~、どんな姿に化けてもレオって若すぎる感じなのよ。
レオって、こんなにもコドモっぽかったっけ?って。
どこからみてもあの瞳は10代に見えるぞ。つか、これって10代の役なんだからして(笑)。要するに、ちゃんと役になりきっちゃってんのね。スゴイです。
最近のレオってすごく邪悪なイメージだったけど、この映画では「ギルバート・グレイプ」に劣らない純粋少年風味を醸し出してるのですよ。とっても無垢。
「ギルバート~」では知的障害があったから無垢もむべなるかな…ですが、稀代の詐欺師として生きながらあのピュアーな感じってのは、どうよ?と思うね。それだけでも詐欺のようだよ(笑)。

この作品って、痛快で洒落たエンターティメントではあるのですが、その中にも「壊れた家族の寂しさ」「幸せな家庭への憧憬」ってのが強く香り立ってるんですよ。そんなとこが実にスピルバーグ的、かもしんないんですが、そういうちょっと翳がある少年の存在感ってのを醸し出すのがレオはお得意なんですよね。きっと。

一方のトムはまたもや苦虫を噛み潰したような表情で面白くもなさそうに出てくる。
こんなんばっか(笑)。
でも、これがトムのお得意なので、ファンとしては嬉しいですな。トム・ハンクス節、つーか。
いっつも眉をひそめてるようなスタンス、っていうかね。思い通りにならなくって翻弄されまくり。
密室宇宙船や無人島や戦場やヤクザ集団や…いろんなところで身動きできずに翻弄されまくってるトムですが、ここではまだガキ臭い10代の少年に何度も何度も「してやられ」ちゃってイライラしてる。
すでに捜査官としての面目だって丸つぶれなんですが、だんだんとこの少年詐欺師に愛情のようなものを感じはじめちゃう。少年の孤独にいち早く(というか、唯一)気がついたのはこの捜査官だし、最後に少年を救うのも彼なんですよね。
そういう、「徐々に氷が解けてゆくような感じ」のトムの演技がまた秀逸なのでした。
やっぱ何演っても「いいひと」なのかいなトム・ハンクス(^^;。

一番印象的だったのは、最後のほうで捜査官カールが、逃げてゆこうとする詐欺師フランクに言うセリフでした。
「みてごらん。君を追いかけてる者は誰もいないよ。」
稀代の詐欺師が足を洗ったのはこのセリフあってこそ。
このセリフに至るまでの深みは、ぜひ映画をご覧になったときに感じてくださいませ。

 

この映画って、ストーリーも面白いけど、ビジュアルがとっても楽しめるんですよ。
レオの衣装だけでなく、背景や小物や自動車やTVに写る番組までも。
60年代当時の意匠ってのはそれだけでもすごくシャレてて好きなんですが、中でもパンナムの企業デザインってのは秀逸ですね。ロゴとか、制服とか、ビル建築までも一流の航空会社だという矜持を感じるの。2003年の今見ても洗練されてるね。
そういうのをすごく効果的に取り入れてるんですよ、この映画って。うっとりするよ~。

それとね、なんといってもオープニングがめちゃめちゃオシャレ。立派に短編アニメとして通用するセンスの良さに見惚れちゃいました。ホント、惚れ惚れ。
あのアニメ作ったの誰だろう?プロダクション・デザイン担当のジャニー二・オッペウォールって人かしらん?ちょっと気になっちゃう。版画のような質感と直線的な線の使い方がイカスの。
てなわけで、オシャレで楽しくて、期待通りの素敵な作品でしたっ。大満足。