『唐磚』(ドラマ『大唐見聞録~皇国への使者』のことを私はこう表記してます。原題のほうが好きだから。ちなみに発音はタン・チュエン)の中で、ギクシャクしている高祖・李淵と太宗・李世民の仲を丸く収めようと雲くんが麻雀牌を作ってプレゼントし、やり方を伝授する…というナイスなシーンがあります。麻雀大好きな私は、このエピソードにワクワクしました!
雲くんは自分の工房で職人たちに麻雀牌を作らせます。
その図案がこちら。なかなか細かい。
出来上がった牌は落ち着いた木の質感が心地よさそうな良いお品。素敵です!
さっそく賭け事の好きな高祖・李淵へプレゼントし、やり方を教えます。高祖は大喜びですぐに覚えちゃう。そして太宗・李世民、長孫皇后、李承乾、李泰、安瀾、雲くんのメンバーで囲む家族マージャンが始まります。
広い部屋で小さな卓を囲む家族たち。愉しく温かい風景だなぁ。…この家族、恩讐でグッチャグチャなんですけどね(汗)。
とはいえ、実態は高祖のご機嫌取りのための忖度マージャン。
とりあえず高祖に勝たせてイイ気分にさせるのがミッション。そのために雲くんがさりげなく皆の手の内を見て、内緒のアテンドをしてるのだけど、とにかくみんなの手が凄いのよ。
高祖は国士無双の全面待ち。
役満待ちのこの笑顔。
李世民&皇后ペアはイー索で四暗刻の頭待ち…しかもアガリ牌を自模ってきた!(自摸牌を手のうちに入れちゃってるけど(汗))
動揺する二人。
イー索は高祖の待ち牌…と、雲くんから暗に伝えられている。ちなみに承乾の待ち牌でもある。
役満なのにしぶしぶアガリの自摸牌を捨てる世民。
すかさず「アガリ!」と叫ぶ承乾…
雲くん「どひゃー」の顔(変顔も可愛い)。
察した承乾が、「あ、違ってた」と自ら降りて、無事に高祖が国士無双で和了(アガリ)!とあいなりました。接待麻雀無事成功!
仲の良い団欒を暖かな気分で眺めながら、なんでこの家族はあんなことになっちゃったんだろうなぁとセツナくなる。いうてもすでに世民は兄弟殺して皇帝になってるわけだし。このドラマって、こういう「面白さ」と「深刻さ」が終始絶妙に交わってゆくところが秀逸なのです。奇妙な魅力を持ってる。トンデモだけど、史実にわりと忠実なのもポイント。
麻雀と言えば、印象的だったのが映画『ラストコーション』(原題『色、戒』)のご婦人たちの麻雀シーン。これもすごく好きで、忘れられない。
この麻雀はいろいろと様子が違うので興味深いです。唐の時代の麻雀の方が違和感無い…ってのは、あれは現代っ子の雲くんが教えたものだからですね。
麻雀は時と場所でかなりやり方が違うものなのです。『ラストコーション』は麻雀が生まれて間もない上海での話。
一番驚いたのがこの積み方。平らに二列置き。積んでない…
暗槓(アンカン)すれど、他家に晒すこともせず、リンシャン牌もツモらない。
そして上がり手は「五門斉(ウーメンチー)」というローカル役。
これは日本には無い役。萬子、筒子、索子、風牌、三元牌のすべてを使って和了る役で、かつては「五族協和」なんて呼ばれていたというから、この映画の舞台、30年代の上海租界ならではだなぁという感じ。ちなみに「語族協和」とは、満州国の民族政策で「日・韓・満・蒙・漢」の五族が協調して暮らせる国を目指す、というもの。
そうそう!この牌も見たことがない。
なんだこれ?と思ってたんだけど、『唐磚』の雲くんの設計図面を見て白牌だということが判明しました!
易婦人宅の麻雀シーンは、映像的にも美しくてとても魅力的。女性だけの麻雀というのがまた良い。薄暗い部屋の卓だけを照らす灯。ご婦人たちが微笑みながら互いの腹を探りあってる。洗牌する細い指に煌めく指輪。漂う紫煙。そして温かいスープ!
スープは憧れですねー。私がお仲間と麻雀やる時も、脇に小卓を置いてお茶やお菓子を置いたりしますが、なんというか…ただの茶菓子なんですよね。こうしてちゃんとした温かいお食事なんかを用意してもらって、ゆっくりとおしゃべりに興じながら麻雀出来たら最高です。
とはいえ、『ラストコーション』での麻雀はマジで賭け事(しかも金持ちの)。マイ夫人(湯唯)はめちゃくちゃ麻雀が下手で、稼いだお金のほとんどを失うほど負けている。もはや娯楽とは言えない怖い世界なのでした(ちなみに、私がやっているのは健康麻雀なので賭け事ではなく競技です)。
『ラストコーション』に関しては以前こちらにも書いてます。