「無頼 人斬り五郎」


かつて60年代に日活で製作された渡哲也の「無頼」シリーズの1つをリメイクした作品だそうです。
一輝が演じる主人公の藤田五郎は実在のヤクザ。留置所で自伝などを書き、作家となった人らしい。
これ、実話だとしたらスゴくね?ってくらい、がっつりと人死にを出してます。
この人、何人殺したんだ?っていう。
でも、死刑じゃなかったわけですよね?カタギの世界の基準とヤクザの抗争とは違うのかな。
とはいえ、とりあえずこの映画の中では主人公・五郎は悲劇のヒーロー(?)で、ヤクザ稼業から足を洗うつもりでいるのにもかかわらず、仁義を貫くために涙をのんで再びドスを握る、みたいな流れになっております。
ハジキじゃなくてドスで凌ぐのは、かつて抗争の際に流れ弾で一般人を巻き込んで殺してしまったヤクザ(これが敵対組の幹部でありシンパシーを感じている男)の話を知り、そうあってはならないと思ったから、ってのが泣かせる。
カテゴリ的には「いいヤクザ」。でも、ヤクザはヤクザ。結局、「悪いヤクザ」と同じ穴に落ちてゆく。
主人公はもとより、その周りにいる人たちがいちいち哀しい。
五郎の周りにいる人は誰もシアワセにはなれないんだよねぇ。


成り行きで五郎と逃避行をしているうちに心を通わせる女性新聞記者(抗争に巻き込まれて亡くなった一般人の娘、という設定。ヤクザを恨んで新聞記者になった)を細川直美が演じていますが…これがヒドイ。
こんなに役に入り込んでいない演技ってどうよ?と唖然とするレベル。Vシネったってもうちっとやりようがあるでしょうに。
てか、そもそもキャスティングが違う気がしますね。この役、細川直美ではまるでムリ。
ま、そんなこともあってこの男女エピには入り込めないことこの上なしです。
一輝も凌いでるときは堂に入ってますが、女絡みシーンとなると途端に感情が入らない。イロ気無し。がっかりでやんすよ。
ま、基本はバトルのシーンでしょうから、そこがヤワでなければオッケー。
これに関しては、圧巻の迫力。やっぱこの人の演技力、並みじゃないし!とあらためて感じます。
ガタイができてるんですよね。バネがいいし、走れるし、とにかくホントに体が良く動く。惚れ惚れする。
敵対組の組長を萩原流行が演じてますが、この組長、全く凌げないからね。どうやって幹部になったんだか、って話だ。
ズルく立ち回るだけでドス一本で戦えないような奴が組長になるなんてマンガじゃないの?



1999年の作品です。一輝はもうすぐ30歳になる頃ですが、見た目、とても若い。
この頃は見事にヤクザ&犯罪者専門俳優って感じなんだけど、慣れてるってのもあってか、なんか、無理なく役に溶け込んでますw
主役の重責も、きっちりと誰よりも上手い演技でこなしてる。
素晴らしい仕事人っぷりですよ!