聴き比べ:ベートーベンのピアノソナタ3番

4月のキーシン来日リサイタルでのプログラムの一つが、この、ベートーベンのピアノソナタ3番です。
若々しい覇気に溢れた明るい作品。私はつねづねキーシンにはこういう陽性の魅力を持った曲こそを弾いてもらいたいと思っているので、ナイスな選曲だと思います。
というわけで、事前学習(予習ですな)の一環として、聴き比べをして楽曲への理解を深めようとしているところ…てか、覚えないと!というレベルなわけだが(汗)。
比較対象は、

です。



選択に意図はありません。たまたま。
それぞれピアノソナタ第3番のみを抜粋して聴き比べています。
今のところ3、4回聴いた感じでは、アシュケさんの演奏が、ごくスタンダードに思えます(ってのも聴きなれているせいでしょう…我が家ではなぜかアシュケさんの演奏がスタンダード、てのがメチャ多いのダ(^^;))。
この人の演奏はとにかくイケイケなので、初期のベートーベンなどはうってつけなのかも(?)。覇気と才気のある演奏です。でもってちょっとせっかちな。
ブレンデルの演奏は自然な流れで聴き入ることができます。とても上品で優しい。あまり動じない印象です。
反して仲道さんはコロコロと表情が変わる。聴きようによってはちょっと演劇性が高いかもしんない。優しげな女と気の強い女がクルクルと前に出たり後ろに行ったり入れ替わるイメージ(笑)。ジキルとハイド的?
それぞれに別の個性があって、やっぱ聞き比べって面白いなぁーと思います。


例えば第1楽章の冒頭部。
楽譜でいうと最初のピアノがフォルテッシモに移る箇所ですが、ここが、仲道さんのはもう、いきなりガーン!と来る。
まるで「びっくり大会」のようです(なんじゃそりゃ(笑))。
テンポも急速に変わる。別の曲のように雰囲気ががらっと変わる。
アシュケさんのもこの部分のインパクトが強い。しかも最初からテンポが速いから、軽快に転がってきたものが、ガツンときてもそのまま転がり続けるイメージ。やんちゃ、だ。
ところがブレンデルはここがかなり押さえ気味。すごく自然にゆるやかに盛り上がる感じ。上品。気持ちよくスッと心に入ってきます。
私はブレンデルのがわりと好きなんだけど…でも、どっちかっていうと、ここはガツーンと行くのがベートーベンなんだろうなぁという気がします。
仲道さんの演奏がいちばん違和感あるけど、楽譜に忠実かどうかという点ではブレンデルよりは忠実なのかもしれない。
それにしても楽章を重ねても「びっくり大会」が続くんで少し疲れます。


キーシンはきっとこういうとこ思いっきりガツーンと弾くのかもなぁと思ったりしますが(笑)どうでしょう。
いったい彼はどう弾くだろう?どう解釈してるのだろう?と想像すると楽しいですねぇ。
なんだか重箱の隅、だけれども(^^;;。