目呂二(めろじ)にメロメロ~ン(構造社展)

宇都宮美術館で開催中の「構造社 昭和初期彫刻の鬼才たち」展に行ってきました。

構造社とは、1920-30年代の彫刻を中心とした美術団体です。
彫刻のほかにも絵画、綜合試作(大型の建造物を設計し、そこに各々の彫刻作品を配置する表現方法)、モニュメントやメダルやレリーフなどの製作をする人材が集っていたようです。

1920~30年代の新興美術は私の好きな分野ですが、いままで彫刻・彫塑などの造型関係は全く知らず、これだけの数の作品をまとめて見る機会も今日が初めて。

時代としてはモダニズムの頃ですが、あまりそういった時代色が顕著なわけでもなく…流行に流されずに個々人の独自の世界に邁進してるようなイメージを感じさせる作品が多かったような気がします。でも明らかに高村光雲などの大御所とは違う現代性(アバンギャルドな感じ)を感じさせるものばかりでした。

とはいえ、どうも私にはこういった分野に対する感性が不足しているらしく、正直なところイマイチぴんときませんでした。

ところがところが。
「ああ、今回はちょっと自分的にハズレだったかなぁ」と思いつつ、最終展示コーナーの近くを歩いていた時です。
ものすごく愛らしい招き猫の姿に一瞬、ココロを奪われました。
そしてそのあたりに固まって鎮座している、芸者さんの泥人形、笑う猫、滑稽な形のブロンズの魚たち、江戸風味が強いくせにモダンな絵画などが次々と目に飛び込んできました。

あれ!これ、すっごくイイ!ステキ!うわぁぁ~!

ドキドキしながら作者名を拾ってゆくと、気に入った作品の全てが同じ作者の作品でした。
嬉しかった。久々に、なんかすごい掘り出し物(者?)を見つけてしまいました。
やっぱ展覧会には行くべきです。そこには何かが私を待ってる♪

彼の名は「河村目呂二(かわむら めろじ)」。

大の猫好き、滑稽モノ好きだった人のようです。
その作品はどれもなんとも愛らしく、表情豊かで優しいのです。
展示場での解説で読んだ彼のプロフィールには、穏やかで優しく洒落っ気のある芸術家であることが書かれていましたが、まさにそんな個性そのものを思わせる作品ばかりでした。
庶民の生活に寄り添い、それを愛し、可笑しんでいる様子が伝わってきます。
なにしろ見ていてとんでもなくHAPPYになる作家なのです。俗っぽさと洒脱のギリギリなところがまた、とても馴染みやすい。
こちらの方のページで目呂二の招き猫の画像を見ることができます。(リンク許可ありがとうございました)
可愛いですよ。
目呂二は招き猫界(?)では、大御所のようです。

ちなみに、目呂二という名は大好きな竹久夢二(ゆめじ)と音楽(メロディー)とを合体させたものだそうです。
そんなところもフザケててとても宜しい(笑)。