見上げれば星は天に満ち

などというロマな題名をつけるところがまた愛らしくってたまらん!たまらんオブ・ザ・イヤー。好きな男の人の好きなものを知る喜びがこの一冊に♪
ということで、今日読了した本はこれ↓。

 「見上げれば星は天に満ちて―心に残る物語 日本文学秀作選」 浅田次郎・選 (文藝春秋

文春文庫創刊30周年記念企画で出たもので、日本文学の名作、森鴎外谷崎潤一郎芥川龍之介中島敦小泉八雲など13篇、を収録した作品選集です。
選者は浅田センセ。
センセのベタな小説が苦手な人にも(えー!)ぜひオススメしたい素晴らしい本です。
てなわけで、当然のようにまず「あとがき」(←センセが想いのたけを綴ったトコロ)から読むワタシ。


綺羅星のような小説たちは、いつも心の安息だったと語るセンセはやはりロマンチストだと思います。私は小説読むとどうしても心がざわつくんですよね。
ざわざわざわざわ不安になる。いろんなこと考えちゃって。
それは私が貪欲だからかもしれない。
「この感情を、私だったらこう書くのに」みたいな欲望がどうしても出ちゃうのね。
人の小説読むと、いてもたってもいられなくなる。焦燥感に苦しくなる…ことがままある。

でも、そんな私にも「安息の読書」が。「あらゆる日常の苦しみを忘れさせるほど、面白」い小説があります。
それはアガサ・クリスティコナン・ドイル、乱歩や横溝正史などの本格ミステリ
ミステリを読んでいるときは、何の葛藤もなく、ただひたすらに酔いしれ、楽しみ、疲れを癒し、安息を得られます。
なので私の北極星はずっと変わらずウィリアム・アイリッシュだったりします。
とはいえ、ここで選ばれている小説は名作ぞろいなので、私の小さな葛藤もあまり出番がなく、邪心なく読み進められるものばかりでした。
知ってる話が多いんだけど、こんなことでもない限り再読する機会もなかったし、いいきっかけでした。
中島敦はすごいなー、とか。やっぱり谷崎はちょっと苦手かなぁとか。
鴎外が好きだった高校生の頃の空気感が蘇ったりとか。何よりも大好きな「西郷札」(松本清張)が入っていたのが嬉しい!

難点(?)というか、自分でもちょっと驚いたんだけど、いにしえの名作を読んだ後、浅田センセのあとがきを読むと、文章が拙い感じがするんだよね(爆)。
つか、この文章、普段よりヘタじゃない??
それは文豪の名文とはトーンが違うゆえのこちらの錯覚なのかそうでないのか(汗)?