彼岸に

お世話になった方の告別式がありました。

風の強い春めいた日。
斎場へと向かう車の窓から、もうこの日を見ることのないその人のことを想って、私は遠くばかりを見ていました。
田んぼの向こうにお墓の寄り集まった場所があり、その上を雲が流れてゆくのが見えました。
そこに向かってポツポツと歩いてゆく彼岸参りの人を見守るように、陽は照ったり翳ったりくりかえす。

あそこに生まれた者たちは、あそこで育ち、子を産み、あそこで死んで、あの場所に埋められ、長い長い時間ああして時を重ねてゆくんだなぁ、と。
そしてやがて墓石も朽ち、誰一人知る者もなくなって…それでもまだその上には雲が流れ、照ったり曇ったりしているのだろうなどと。

そんなことを考えていたら、なんかもう、生きていることのほうが奇跡に思えてきました。

死は誰にでも絶対にやってくる「予定」なのに、なんでこんなに考えたくないものなんだろうか。
つまりそれは全然「特別」なことでもなんでもないのだろうに、どうしてこんなに「特別」なんでしょうね。


ラジオから流れてきた曲で、心に残った歌詞が二つ。

「カゴの中で仕方なく生きてるわけじゃない」(「お薬」by aiko

「運が悪けりゃ 死ぬだけさ」(「男達のメロディー」by SHOGUN)「俺たちは天使だ!

このところお葬式ばかりなので、ちょっと滅入ってしまってます。
で、人の死を見て、少し臆病にもなっています。
だから、こんなふうに威勢のいい歌詞を聴いて、どこかホッとしたのでした。