「何を根拠に」

 

何を根拠に (角川文庫)

何を根拠に (角川文庫)

 

 ナンシー関・著(世界文化社

まだあったよ…どんどん出てくるなぁ。
でも、今までこれが単行本収録されていないのはとってもよくわかる、って内容でした。こうやって掘り起こしてゆくと、どんどんヤバめのものが出てくるんでしょうね。なにもわざわざそういうのまで出版しなくとも、とも思いますが。
何がヤバいかといいますと、ナンシーさんの立場がヤバい。グラグラ。
彼女は普段から「映画は全然知らない。」「滅多に観ない。」と、映画がニガテなことを表明していたのにも関わらず、「それなら初心者の目で観てなんでもいいから感想を書いちゃってくださいよー」みたいに編集者に乗せられた企画がここに収録されてるんですが(要するに映画オンチの書く映画評)はっきりいって、いかにナンシーさんでも知らないこと(しかも好きじゃないこと=こだわりのないこと)を書いたって、つまんないことこの上ない。この企画、あまりにも無謀。
こんなにも精彩の無いナンシーさんを見たのは初めて。こんなにもツマンナイ映画評もあまりないし。仕事、選ぼうよ。
でもって、いかに彼女が内心(マジで映画なんかわかんねぇーんだよ(涙)。TVを語らせろ。)という気持ちで満ち満ちていたかがある時突然表出するんですよ(笑)。映画評の連載ページなのに、ある回でイキナリ、「映画の話じゃないんだけど、どうしても今回はこれについて語らせて欲しい。」と前置きもキッパリとごり押しで進める話がテレ東の「大食い選手権」ネタなの(大爆笑)。
それでこそナンシーさん!そこで自分の萌え心を抑えたりしない潔さ(?)がヴェリー・ナイス。

「情熱なしになしうるすべては無価値だ。」(by マックス・ウェーバー)ってなことをフッと思いつつ、ナンシーさんのTV評のないこの頃が、ふと寂しい秋の日であるよ。