ラヴうた@「花のサンフランシスコ」


2004年9月2日のエントリ再録


「San Francisco (Be Sure To Wear Flowers In Your Hair)」/Scott Mckenzie
(「花のサンフランシスコ」/スコット・マッケンジー)



1967年の全米ヒットチャートに載った曲。
作者は(これまた名曲の)「夢のカリフォルニア」を作ったママス&パパスのジョン・フィリップス。
私は(この歌が生まれた頃、まだ1歳で)同時代…とも言えないのですが、昔からなぜか懐かしい歌です。


HPにも多用している言葉なんだけど、私にとって「Flower(花)」というのは特別に素敵なイメージのある言葉です。
当サイトの「Freaky Flower」にしろ、「花花」にしろ、自己表現の場には私は「花」を髪飾りのように飾っていたくなる。
それはあるイメージの象徴。
私が「Flower」とつぶやく時、脳裏に浮かぶのはガーデニング的「花」の形ではなくって・・・例えば「フラワーチルドレン」「サマー・オブ・ラヴ」「ラブ&ピース」「ヒッピー」・・・というような、ある時代の「匂い」だったりします。
自由で、反権力的で、いい加減で、東洋趣味でありながら新興クリスチャン的で、精神的で、自我が強く、若く、刹那的な。
そんな時代の感覚を代表してるのがまさにこの曲のような気がする。
「気がする」ってのは私はその渦中にそこにいた人間ではないので、あくまでもイメージの世界でしかなく、想像するにとどまるだけということなのですが。


1967年の夏は、「サマー・オブ・ラヴ」と呼ばれたヒッピー文化の最高潮だった時でした。
この年にヒッピー革命の本拠地サンフランシスコで開かれたモントレーポップフェスティバルではジミヘンやジャニス・ジョプリンが歴史的なステージを見せたという話が、伝説のように語られている。
このフェスティバルのイメージソングがこの曲だったのです。


"Summer of Love" の宣言
"This summer, the youth of the world is making a holy pilgrimage to our city, to affirm and celebrate a new spiritual dawn...."(宣言文より)


(この夏・・・世界の若者たちは、新しい精神的な夜明けを宣言し祝福するために我々の町へ神聖な巡礼を行なうのです。)


激化するベトナム戦争に反対した若者達は、自由でボロい服装にジャラジャラとビーズを付け、伸び放題の長髪の髪に花を飾って、誰彼構わず抱きついては「ラブ・アンド・ピース」を叫んでいた。
「銃より花を」と歌っていた。
その反戦運動は、政治やイデオロギーからはあまりに遠く、若者達のストレス解消というか・・・なかばヤケッパチで自堕落なムーブメントに過ぎなかったようにも思うけれど、そこからはたくさんの素敵な音楽やスタイルが生まれた。
ビートルズが奇跡的名盤「サージャント・ペパーズ・ロンリー・ハート・クラブバンド」を作り、ドアーズの名曲「ハートに火をつけて」がリリースされ、「ローリング・ストーン」誌が創刊され、アメリカン・ニュー・シネマの先駆けである「俺たちに明日はない」や「卒業」が封切られた、そんな1967年のカウンター気質に満ちた若者達に、うっとりと想いを馳せる。
若く、悩み続けるアメリカに想いを馳せる。


If you’re going to San Francisco
Be sure to wear some flowers in your hair
If you’re going to San Francisco
You’re gonna meet some gentle people there


(サンフランシスコへ行くのなら、必ず花を髪にさしなさい。
サンフランシスコへ行くのなら、やさしい人たちに出会うはず。)


ああ・・・ドキドキする。
この道の先に、未知なる世界が、まだ見ぬ人たちが、これから始まる人生が、開けているような予感。
まっさらな心で髪に挿した花が、風に揺れる。
私たちは自由だ。いつだって。


この曲は、毎日聴きたいような曲ではないんだけど、時々ものすごく閉塞感を感じた時などに聴くとお薬のようによく効くのです。
「Free」という感覚を思い起こさせてくれる。
リラックスしていればいい、生きるということは本来ものすごく動物的な自然なことで、だから何ものにも縛られることなどないのだ・・・と、ぽっかーんとしたピースフルな気持ちになれる。
ノーブラでもおもてを歩けるわ、みたいなユルい気持ちになれるのです。←こんな方向性で果たしていいのか(笑)?
心に花を。
唇に歌を。