オーギュスタン・デュメイ(vl)&小山実稚恵(p)デュオ・リサイタル

今日は地元で開催された、デュメイと小山さんのデュオ・リサイタルへ行ってきました。
3日後に紀尾井町ホールでやる演目とほぼ同じです。でも料金は違う(笑)。
紀尾井ではS席9000円。でも、同じのが壬生ではなんと3000円!
どっひゃ〜〜。
3分の1のお値段ですよ奥さん!なんてステキなんでしょか♪
しかも前から3列目の至近距離で聴けましたからね。
いつもゲロ高い交通費かけて東京行ってるんですから、たまにはこういうオイシイ思いをさせてもらえるのもイイですね。
子供たちを預けて、夫婦2人で行ってきました。


曲目
モーツァルト:ヴァイオリン・ソナタ 第41番 変ホ長調 K.481
メンデルスゾーン:無言歌集から(ピアノ・ソロ)
       作品19−1 ホ短調「甘い思い出」
       作品30−6 嬰へ短調ヴェニス舟歌
       作品67−2 嬰へ短調「失われた幻影」
       作品38−2 ハ短調「失われた幸福」
       作品67−4 ハ長調「紡ぎ歌」
ブラームスハンガリー舞曲集から 
       F.A.E.ソナタから スケルツォ
       ヴァイオリン・ソナタ第3番 ニ短調 op.108
*アンコール・・・パラディス「シシリエンヌ」

(2006/10/1)壬生中央公民館

デュメイは有名なヴァイオリニストなんですが、私は今まで(CDで)一度も聴いた事がありません。
全くの初聴き。
でも、その第一音を聴いた時に、思わず「うわ〜」と声に出してしまいそうになったよ。
なんという美音!
デュメイの音は、聴くなり惹き込まれるステキな音でした。
濁りのない澄んだ伸びやかな音、きれいな重音、豊かな表情、そしてどこかホワンと明るい。
最高でしたよぅぅ。
モーツアルトブラームスソナタは、もう一度聴きたいです。ホント、良かった。
あ〜、特にブラームスね。こんなイイ曲だとは!
ハンガリー舞曲(5番)は、ピアノとヴァイオリンが少し呼吸合ってなかった気がしましたが…これって合わせるのが難しい曲だと思いますねぇ。ピアノのアレンジがイマイチだったし。でも、ヴァイオリンの威勢は気持ちよかったですね。


しかし、デュメイってオチャメな人なんですよ(笑)。
プレスの跡もうかがえないほどヨレヨレなズボンをはき、色がそれぞれビミョーに違うジャケットとズボンとベストを着て、取ってつけたような雰囲気の合わない曲がった蝶ネクタイをして、ボロい靴を履いてるw。
パッと見、(寝泊りしている)公園のベンチから直行して来た人のような、トンチンカンな感じ。
そのハッチャケた格好で、ふにゃらふにゃらした姿勢で演奏するんです。ちょっとコミカル。
表情も豊かでね、とてもノリがイイんですよ。
曲が終わって挨拶する時には必ず小山さんの手を取って満面の笑みを浮かべ、花束を渡しに来たお嬢さんの手には(強引にw)キスもする。
演奏はもちろん、見た感じも楽しかったんです。なんというか、キャラが。面白いっすよ、デュメイ(笑)。


小山さんは何枚かCDを聴いてるし、TVなどでも見かけるのでわりと馴染みはある方なのですが、好きかと聞かれたら「よくわからないけど…好きかなぁ」と答えるしかないような感じで…つまり、よく特徴がつかめずにいる人です。「これが小山さんだ!」ってのが何なのかよくわからないでいました。
今回も、ピアノのリサイタルではないので(ソロもありましたが)、まだなんとなくベールをかぶったままな印象です。
でも、演奏に違和感は感じませんでしたし、とてもイイ気持ちで聴けましたから、実はずば抜けた個性で勝負というより、とても堅実に作品を再現するかたなのかも知れません。さらっときれいにまとめていた感じがありました。
今回のデュオリサイタルではデュメイが完全に華を持っていった感じですけどね。(ポスターの写真は小山さんのほうが大きいけど、それは日本の興行側の思惑の反映であって、それ以上の意味はないと思います。)
それにしても小山さんのドレスがビニールみたいなのも気になったなぁ。服装はどちらも奇妙でしたw


壬生はド田舎なのでしかたがありませんが、客席はなんと4割の入りでしたね。つまり、半分以上空いている。
舞台から客席を見たとき、デュメイも小山さんも唖然としたろうなぁ〜と思いますよ。
しかもホール自体たいして大きくないので、マジでショボイ感じです。拍手すると、その音がへんに反響してさらにわびしさ倍増するっつー(汗)。
ためらいがちの客の「ブラボー」に至ってはもうなんと言ったらいいものやら。「ごめんなさいぃぃ(涙)」という感じ。申し訳ない。
でも、なんだかデュメイがそんなことちっとも気にしていない風なのが、とても嬉しかったのですよ。
あんまり客が少ないんで、逆にリラックスして楽しんでたような感じでね、それでももちろん手抜きなどせずにすごく熱心に弾いてくれました。
さらにトホホなことに、最初のモツのソナタでは1楽章が終わった時点で客席から少なからぬ拍手が起こっちゃったんですよ。
もうホントにねぇ(^^;;。それが壬生クオリティか。
けれどデュメイはそれさえもとても楽しそうで、さらに心安い様子になり、なんだかとても生き生きと客に直接語りかけるような雰囲気で演奏を続けてくれました。
デュメイはこういう状況下で不機嫌になるような狭量な演奏家ではありませんでした。
ほんのわずかな客、しかもろくに音楽を知らないかもしれない田舎者の客の前でも、全力でイイ演奏をしてくれる、誠実で温かい人でした。
ありがとう!
演奏も人柄も演目も良かったので、終了後は温かい気持ちのまま、大満足で帰りました。
いいコンサートでした(^-^)。