「犬儒派だもの」

 

犬儒派だもの (双葉文庫)

犬儒派だもの (双葉文庫)

 

 

呉智英・著(双葉社
このような時代(つまりネットであらゆる人間が「批評」を書く時代)に、批評を売りにする人間というのは特別な覚悟が要ると思う。
つまり人を批判して糊口をしのぐ、ってのの恥をいかに知ってるか、それに見合う何があるのか、ってのを示せる人でないと、今や批評家は冷笑の憂き目にあう。(ヨイショ評論書いてる人は別だけど。それって単に「広告」だから)
呉智英はそんな自分の立場をすごくよくわかってる人だと思う。
選ぶ話の内容や解釈の面白さ、ってのもありますが、署名つき主張としての気風の良さがイイ。呉智英が書くから、イイ、ってのがある。
でも、中野翠を「可愛い」とか言うのに紙面を割くのはやめてー。
それって売るような文章じゃないんじゃないの。ユルい。
アタシも中野さんは可愛いと思うけど、それとこれとは別でしょう。でも、栗本薫に関しては、心躍るものがありました。要するに同じことを思ってたからだし、そこから派生する話(肥大する自我についての話)がとても面白かったから。