横山大観展


宇都宮美術館で開催中の「横山大観展」に行ってきました。



開館15周年記念の特別企画とあって、かなりまとまった数の作品が出展されてました。
横山大観はいわずと知れた大家ですが、思えばこれまで意識してその作品を見たことが無かったなぁ…と気づきました。
明治・大正・昭和と時代を辿るように展示してありましたが、思っていた以上に作風に変化があるのが面白かったです。
私はなんといっても明治時代の作風が好きですね。
しばし立ち止まってじーーーっと見入ってしまった作品がこちら。


下村観山・横山大観 「日・月蓬莱山図」 1900(明治33)


日月が対になっている双幅で下村観山と横山大観の合作です(日の出を観山が、月の出を大観が描いています。こちらの絵は大観の月の出。)。
大観特有の「朦朧体」と呼ばれる没線画法を駆使して繊細な「時」と「空間」を描き出しているんですよ。
この技法、近くで見てみると本当に驚くほど巧みで効果的なのに驚きます。
曖昧模糊としながらも、今そこに息づいているものたちの一瞬の間を切り取ったような絶妙な臨場感が素晴らしく、じっと見ていると吸い込まれそうです。


昭和の時代になると、富士山や旭日をモチーフとしてきた大観の作品は国威高揚のためにこぞって使われるようになります。
純粋に風景を描いていた頃のメンタリティとはまた違った作品が増えてるのを感じました。
本人もかなり国粋主義だったこともあって、戦後は戦犯としての取調べを受けたこともあったようです。
富士も旭日もとても美しいけれど、こうして今の時代あらためて当時の作品を見ると、やはりその造形はあからさまなまでに特定の思想の象徴だというのを感じますね。
そんな意味合いでも、大観は国民画家たる存在なんでしょう。


美術館の裏に広がる森を散策しました。



雨上がりだったので、森の匂いが強く立ち込めていました。
深ーく息を吸うとホントにいい気持ち!まさに森林浴、ですね。



あちこちに栗が大量に落ちてます。
割ってみると、かなり立派な大きな栗が入ってたりするのよ。