「英国王のスピーチ」



祝・アカデミー作品賞、監督賞、脚本賞主演男優賞受賞その他もろもろ。
ということで、さっそく試験休みのお嬢と二人で今一番の話題作を観にいってきました。


作品としてはとてもまっすぐで、よく言えばシンプル、悪く言えばひねりがない、という感じ。
でもその直球ストレートは、おそらく多数の人の胸のど真ん中に届き、希望の光を垣間見せ、ホッとさせる暖かさをもった「確実なストライク」を取っている気がします。
正統派、って感じ。安心して観ていられる。でも、まぁ、地味だね。
実話が題材だというのは、威力あります。
実際にあのような実に個人的な”戦い”を乗り越えた国王がいて、その国王がどこの馬の骨とも知らぬ移民の一平民と真の友情を築くことができたエピソードに胸がジーーンとします。
えっ!「王冠を捨てた恋」って、真相はあんなだったの?!とか、あの可愛いお嬢さんが今のエリザベス2世なのだなぁ〜、妹のマーガレット王女のその後はイロイロあったなぁとか思いながら観るのも楽しい。


国王が抱える「悩み」は、当人にとってはかなり深刻で憂鬱な事態ではあれど、どこかユーモラスで人間味がある。
ジョージ6世、王妃エリザベス、ライオネルのやりとりには、その、ちょっとコミカルなひとしずくが常にあって、なんか可笑しいw
もちろん「コミカル」には描かれていないのよ。あくまでも「深刻に」描いてるんです。
でも、どこかに空気穴が開いてて、そこから可笑しな匂いが絶えず漂っている。
その塩梅が絶妙で、品良く出来上がっています。
コリンが演じる気の毒でタイヘンな国王には、こちらが気持ちを寄り添わせずにいられない可哀想なチャームがあるもんだから、観る者はいつのまにか「バーティ、頑張れ!」の気持ちになってく感じ。


ポッタリアン的にはハリポタメンバーがポロポロ出てるのも楽しかった!
ダンブルドアジョージ5世だったり、狂気魔女ベラトリックス・レストレンジが献身的な王妃だったり、惨めなピーター・ペテグリューがなんとチャーチルだったりする!
あらためて皆さんめちゃくちゃ芸達者なんだなぁーと実感。
ぺティグリューはややギャグでしたがw
でもって、やはり名演技の最もたるのは主演のコリン・ファース
動きの少ない吃音症の国王であるがゆえに、まさしく目が口ほどに物を言い、です。
追い込まれてるとき、キレたとき、自信がないとき、失望のとき、嬉しいとき…それを全て目で演じてる。上手いです。地味ですが。
つくづくハリポタに出演オファーなかったのが残念だわ。


…てな感じで、悪くない作品でしたが、2度見たいかと聞かれたら、そうでもない。好きかどうか?で言えば好きでも嫌いでもない。
でも、個人的にはカメラワークに大いに不満ありでした。
歩くシーンや人物を追う時のカメラの揺れが、ところどころでキツくて目が回っちゃった。
臨場感や、国王の焦りなどを表現したいシーンだから、そういう演出だった…ってのは重々承知なんですが、車酔い状態になるようなカメラワークはイヤだわ。
細かいシーンを思い返してみても、このカメラさんあんまり上手くないんじゃないか?


お嬢は「わかりやすかった」と言ってました。
彼女の感想で印象的だったのは、コリンをカッコいいと言ってたのと(やっぱこの人、オヤジ好き…(汗))、音楽のチョイスが良くて嬉しくなった、ってのでした。
ちなみに音楽とは、ベートーベンの7番2楽章、「皇帝」2楽章などです。
モツァルトもあったな。
ベト7の2楽章は最後の長い演説のBGMだったのだけど、これがすごくハマってた。
てか、どうしたってベト7はイイ曲だよねぇ。
それ使うのは反則、って気がしなくもないw