女神降臨。

壬生町中央公民館に大好きなヒラリー・ハーンのリサイタルに行ってきました。



ヒラリーがここで公演するのは2度目。(前回聴きに行った時の日記はこちらです。今でも深い感激と共に心の中に暖かく残っている最高のコンサートでした!)再び招致してくれた壬生公民館の尽力に感謝です。
そして、こんな田舎の小さなホールに、しかも会場の半分も埋まらないというのに、4000円という格安さで快く演奏をしに来てくれるヒラリーの心意気を本当に嬉しく思います。ありがとうヒラリー!

演目


イザイ:無伴奏ヴァイオリン・ソナタ 第4番
アイヴズ:ヴァイオリン・ソナタ 第4番「キャンプの集いの子どもの日」
ブラームスハンガリー舞曲集(No.10,No.11,No.12,No.19,No.5,No20,No21)
アイヴズ:ヴァイオリン・ソナタ 第2番
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イザイ:無伴奏ヴァイオリン・ソナタ 第6番
イザイ:子どもの夢
アイヴズ:ヴァイオリン・ソナタ 第1番
バルトークルーマニア民族舞曲(棒踊り、飾り帯の踊り、足踏み踊り、ブチュムの踊り、ルーマニアポルカ、速い踊り)


アンコール:パガニーニカンタービレ
       ブラームスハンガリー舞曲集 No.5


ピアニストはヴァレンティーナ・リシッツア。
初めて知るピアニストですが、かなりの実力派で、表情豊かな音を聞かせてくれる方でした。ヒラリーとの息もピッタリ!
組んで演奏するようになってもう2年以上経つようですが、本当にしっくり溶け合った素晴らしいコンビネーションでした。


今回主に演奏されたアイブズはアメリカの作曲家です。一般的にはあまり知られていない作曲家ですよね。
ヴァイオリン・ソナタは4曲あって、そのうちの3曲を今回ヒラリーが演目に選んでいます。こんなふうに取り上げられることはマレだとか。自身の故郷アメリカの作曲家をすごく大切にしているヒラリーらしい選曲です。
アバンギャルドな曲風で、様々な先進的書法を試みていたり、いろんな既存のモチーフが散らばっていたりと、複雑な構成を持っています。
聴く側も心を預けてゆったりと聴く…という感じで向き合うわけにはなかなかいかず、かなり緊張を強いられるタイプの曲かな〜と思います。
その緊張の合間に、ヴィルトォーゾを堪能できるイザイの曲があり、ロマンティックで親しみやすいブラームスハンガリー舞曲やバルトークルーマニア舞曲があるという、歯応えの堅いものから柔らかいものまで取り揃えて聴衆を飽きさせず、かつ、ヒラリーの表現したい世界を十分に盛り込んだと思われるナイスなプログラム構成でした。


どの演奏も素晴らしくて、もう何も言うことはありません。
てなこと言いながら、実はアンコールで弾いてくれたパガニーニカンタービレが、私は一番嬉しかったのですが(^^;;)。
これはね〜忘れられない1曲となりましたよ。素晴らしすぎて思わず涙がこぼれました。
満足です。心から大満足でした。


てか、もう演奏だけでなくて、ヒラリーの存在そのものが素晴らしすぎて感激しきりなわけですけどね。
なんつったって私の女神様ですから!
2年前より少し痩せて、さらに美しくなってらっしゃいました。結わえた栗色の髪が小さなお顔によく似合います。
衣装はビーズが刺繍されたブラウンのドレス。とってもセンスがいい。
微妙な話ですけど、こういうところのセンスの良さってのが、音楽にも出ているのですよ、彼女の場合。
でもって、演奏中もお人形さんのような綺麗な横顔を一瞬たりとも崩すことなく最上のヴィルトゥオーゾを聴かせてくれるという完璧さは相変わらずです!
たいていのヴァイオリニストは演奏中、世界に入り込んで思わずヘン顔になっちゃってたりってことがままありますが、ヒラリーに限ってはそれはありえないのです。
かといって世界に入り込んでいないわけではない。要するに端正なんですよ、心意気が。人間の感情がとても繊細だということを良く理解するクレバーな人なのです。
けれど演奏を終えた後は必ず可愛らしい笑顔を見せてくれる。不機嫌だったり、そっけなかったりするなんてことは決して無い。
アンコールには必ず「日本語で」曲目を自ら紹介してくれるし、終了後のサイン会も快く開いてくれるし…とても気さくで優しい人でもあるのです。
ついでに、彼女はこうして演奏をし続ける時間の間もいろいろなことを感じたり考えたりしていて、それを後で文字にする稀有な知性も併せ持っているのですからね。
スゴイよ。惚れ惚れします。
あ〜大好きだヒラリー。ホント、逢えて良かった(感涙)。


しかしながら今日のサイン会でパンフレット表紙にいただいたサインは、ペンの種類が悪かったのかなんなのか(まさか水性サインペン?)、文字が浮いてしまってすぐに消えかかってしまい焦りました。触れないように水平に持って大事に持ち帰りましたよ。
こんな感じに↓どうにか読める程度にはサインは残りましたが…かなりガッカリ(涙)。



壬生公民館さん、もっとしっかりした油性ペンを用意してくださいよ。
サイン会の規制はかなり厳しくて、サインは会場で買ったCDかパンフのみ、でした。
CDのみ、だったらどうしようかと思ったよ。だってこっちはヒラリーのファンですよ?CDなんてもうみんな持ってるに決まってんじゃん。DVDなんか日本版出るの待てずに輸入版買ったくらいなんだからね。
どこぞのCDショップとの癒着だかなんだか知りませんが、「サインもらえるのはCD買った人だけー」なんていうセコイ商売されたらかないませんよ。
「バイオリンにサインしてもらうんだー」と嬉しそうに言いながら花束と自分のバイオリン持参でやってきている少女が数人おりましたが、彼女たちもガッカリしたことでしょう(私は前回、関係者の某さんに「楽屋に入れてあげる」云々と言われ、のこのことバイオリン持参でやってきましたが、蓋あけたらそんなこと望むべくも無く、それどころかサインはCD買った人だけ!などという状態だったので、今回は最初から無理と諦めてバイオリンは持参しませんでした)。
こういうところにもうちょっと柔軟性があるといいなぁーと思うんだけれど、税金でまかなってる自治体施設だからあまり融通は利かないのかもね。
なにはともあれヒラリーを呼んでくれるだけありがたいのです。もうホント、それだけで十分なんですから、贅沢言っちゃダメですね。
次回の来日公演でも、またこの田舎町に来てもらえますように。再びの女神降臨を祈っています!