君子豹変す

神保町で収穫した「音友」(1985年7月号)に、こんな記事が出てました。

グレン・グールドのように弾けるとは思わないから、バッハは弾かない。」


だそうです。
ボロージャ、1985年の弁。
この後、20年…2005年に彼はバッハを録音するのですが、以下はその時の弁。


「グールドの演奏するバッハは世界最高の水準で、同世代の私たちからすると、これ以上のバッハは演奏できないのではと思わせられるものでした。しかし、グールドの演奏した中で「平均律」だけは、その解釈が少し行き過ぎていると感じる部分があったのです。私ならばもう少し違った風に演奏するだろうなと思う部分が。それなら自分も録音する意味があると思ったのです。」
(「音友」2006年2月号インタビューより)


20年越しの前言撤回を突っつくつもりは全然無いんですよ。
なんというか、これってすごくボロージャらしくて、微笑ましいなぁ〜と思ったので載せてみました(笑)。
人生、”先のことは何もわからない”のですから(←ボロージャの基本思想)。
だから楽しいんですよね、きっと。
凝り固まったモノの考えはツマラナイ。
人もまた季節とともに移ろいながら生きてゆくのが自然です。
でもって、このバッハは各方面から絶賛された作品となったわけで。それが全ての答えとなっているのでしょう。
まさしく「君子豹変す」(=A wise man changes his mind, a fool never.)ですネ!