「ガーンジー島の読書会の秘密」

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DVD化されるの待ちわびてて、新作でレンタル開始と同時に借りてきました。
観たかった理由の一番は、ドラマ「ダウントン・アビー」の出演者がたくさん出てる…というミーハー丸出しの単純なもの。
リリー・ジェームズ(ローズ)、ジェシカ・ブラウン・フィンドレイ(シビル)、マシュー・グード(ヘンリー)、ペネロープ・ウィルトン(イザベル)…(カッコ内はダウントンでの役名ね)と、4人も出演しているんですから豪華!リリーとジェシカ、めっちゃ好きだし!
ってな軽い気持ちで、前知識も入れずにワクワクワクワク(*´艸`*)見始めたんですが、初っ端からナチの尋問の緊迫でのゲロゲロ~に狼狽。
「…こ、これは想像していたようなほのぼの系の話ではないぞ!」
と、居住まいを正しました。
いやはや予想外にも、なかなか硬派で様々なことを考えさせられる作品でした。
リリー・ジェームズのビジュアルがあまりにも可愛すぎるので、ロマコメだと思い込んでましたが大間違い!
でも、本当に観て良かった。
今の私にとても大切なことがこの作品にはたくさん詰まっていたので。
出会う前から運命を感じることって、やっぱりあるのかもしれない。シンクロニシティというやつか。

 

本が結んだ偶然の出会いで人生の道筋を変えられてしまう主人公のジュリエット。
自分の信念に真っすぐで愛情深い”闘う”女性、エリザベス。
エリザベス失踪の謎をジュリエットが解いてゆく…というストーリーなのだけど、この二人の女性がとにかく魅力的で、ぐいぐい引き込まれます。

 

リリー・ジェームズ演じるジュリエットはその一挙手一投足がとにかくキュートで眼福。
ずーーーっと見ていられる。
衣装も髪型もため息が出るほど可愛らしい。でも、ただ可愛いだけの女の子じゃない、ってとこもよく表現できている。本当の自分とは何だろう。自分の能力をどう生かせばいいのだろう。心から生きる、というのはどういうことなんだろう。
迷うジュリエットの姿はそのまま見ているこちら側にも響く。同じようにある迷いや葛藤に響くのです。

エリザベスを演じるジェシカ・ブラウン・フィンドレイはホントにはまり役。
ダウントンでのシビルにも通じる強くて美しくて周りの人々に影響を与える役です。凛として美しく、頑固で、揺るぎない。とってもカッコいい。こういうキャラクターは彼女の専売特許になりそう。

 編集者役のマシュー・グードもめっちゃいい味出してます。ジュリエットとの距離感が絶妙。彼の目線からのスピンオフが見たいキャラであります。

 

主人公の恋は手紙のやり取りからゆっくりと、自身もそれと気づかぬうちに生まれます。
手紙はその人間性が浮かび上がるのはもちろんのこと、手紙を書く、出す、待つ、読む…といった行為自体が、感情を醸造させるのね。そこがいい。時間と手間をかけることで、感情がゆっくりと育ってゆくのです。
今の世の中、便利になったけれど圧倒的にこの「時間」がなくなった。
時間をかけることによって物事が意味を持つ暇がないからいろんなものが軽くなってしまった気がします。発したはずの言葉も、あっという間に流れてしまう。
言葉は、ホントはそんなに軽くないはずなのに。魂がある、とさえ言われるものなのだから。

 

本、手紙、言葉がふんだんに使われる作品だけあって、忘れられない名セリフもいくつかありました。
中でも、
「足るを知りながら大志を抱け」
という言葉が忘れられない。
ガツンときました。
謙虚に、でも貪欲に。感謝しながら、真っすぐに。
仕事をする姿勢として、こんなに素敵なアドバイスはないです。素晴らしいな。
書きたい、という強い思い。これは私が書くべきものだ、という使命感のような気持ち。
作家にとって、そんな題材に出会えることは奇跡ともいえる。
いろんなことに自信が無くても、自分ではダメかもと思っても、心を掴まれる題材に出会えたのなら、もう全身全霊で進むべきなのだ、と、ジュリエットは教えてくれました。
「足るを知りながら大志を抱け」と。
座右の銘にして今後、心の支えにしようと思います。

映画としては、ちょっと説明不足だったり緩急のバランスが悪かったりといったところもままあるのですが、この作品が伝えたいこと、というのは明確で、純粋で、たまたま私が今抱えている思いと、この作品のエッセンスが親和性高かったこともあって、私にとっては珠玉のような作品でありました。

 

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