篠山紀信展 写真力

先週末、篠山紀信の写真展に行ってきました。

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最初のブースが「GOD:鬼籍に入られた人々」。
つまり物故者のポートレイトです。
入り口出口が黒いカーテンで閉じられた厳かな空間になっていました。
最初に目に飛び込んでくるのが大きな大きな寅さん(渥美清)の笑顔。寅さんファンなので涙腺が緩みます。
その隣に過剰に演劇的な三島由紀夫が2枚。縛られ矢を射られる構図と、筋骨隆々の体を見せつけるように日本刀を構えた構図。どちらも裸体です。
病みと闇を抱えた一人の芸術家の凄まじいまでの陶酔を見る思いです。
夏目雅子大原麗子、森光子などの女優さんも大きな大きな写真で。ファンの人は嬉しいだろうなぁ…と思います。あれだけ大きなポートレイトだと、本当に目の前に佇んでいつまでも語りかけていられるような気がするもん。
有名な百恵ちゃんのビキニ写真や、初々しい宮崎美子のデビュー表紙写真(週刊朝日でしたっけ?)、50を越えても可愛い聖子ちゃんなどなど華やかな芸能人やアスリートが大勢被写体になっております。蒼井優ちゃん、満島ひかりちゃんもいました!
素晴らしいのはサンタフェ宮沢りえちゃん。
あの時の衝撃は今もそのまま、永遠にフェアリーのような可愛らしさです。
りえちゃんのこの写真を見ると、時の流れの儚さを感じますね。世界中の光を一身に浴びるかのようにきらめいていた彼女のその後を知っているからこそ、この愛らしさがセツナくて愛おしい。
人物の写真は被写体の実際の物語があるから想像力のふくらみが生まれます。人間ってのは魅力的だなぁ…っていうのを、展示を見ていて思いました。
東日本震災での人々の表情を撮ったものも展示されていましたが、それまでのブースで見てきた写真のトーンとあまりにも違いすぎて、同じ写真展に収められているのはちょっと違和感感じました。
芸能人にわーきゃー盛り上がったテンションが空に浮く、というか。どういう気持ちの整理をつけて見ていいのかわからない。あれも人、これもまた人、か。

 

オペラシティギャラリーのサイトで、展示の様子の一部が見られます。

篠山紀信展 写真力 展示風景|東京オペラシティアートギャラリー

美術館の前の野原。初秋の曇り空。こう見えてまだすごく暑い日でした。

 

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森の手前に佇むブロンズ像は、サンドロ・キアの「ハートをいだく片翼の天使

 

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