我々はどこから来たのか、我々はどこへ行くのか。

 

【Amazon.co.jp限定】ダン・ブラウン『オリジン』上下巻 セット 特製MAP付

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大好きなダン・ブラウンのラングドン教授シリーズ最新刊「オリジン」を読みました。
ネタバレなしでざっと感想書きます。


今回の舞台はスペイン。
いつもながらガッツリ観光名所が出てきますよ!
モンセラティの修道院からはじまり、ビルバオのグッゲンハイム美術館、カサ・ミラ、サグラダファミリア、モンジュイック…と、盛りだくさんです。
グーグルをお供に読んでゆくと臨場感たっぷりで旅行したような気分になれます。
テーマになっているのは宗教(神)と科学(進化論)、そして人口知能(AI)です。
「我々はどこから来たのか、我々はどこへ行くのか」という人類最大の謎……が解き明かされるかどうかは読後のお楽しみということで。


相変わらず蘊蓄や知識も盛りだくさんで、知的好奇心が満たされます。
でも、こと謎解きの部分となると、今回はちょっと前作に比べると弱いかな…。
物語のバランス的にも気になる部分があったし(ある部分が妙に冗長で中弛みっぽくなっちゃってたりとか)。
まぁ、詳しくは書きませんが、読んでる最中に(ラングドンより先に)謎が解けちゃった!ってのはシリーズ中で初めてでしたw

 

それでもダン・ブラウンの「解決ぶり」は、いつもながら素晴らしくて、さすがだなぁという感じです。なんというか、すごくバランス感覚に秀でているんですよね。「謎解きを」っていうよりも「人間のポジションを」絶妙な落としどころでまとめてくる。あるべきものをあるべきところに。
毎度毎度ものすごい陰謀渦巻く世界を描いているんだけど、人間の心(行動の動機、それぞれのそれぞれにしかない意志)をちゃんと一番に捉えて物語を作っているところがダン・ブラウンの良さですね。殺さなくてもいいヒトを殺してしまうのをもうちょっと抑えてくれるともっと良いのだけど。

 

それにしても今回の物語は全編スマホ、スマホ、スマホ…です。
全てがスマホありきで動く世界(現実の今の社会)を描き、AIが世界を牛耳る次世代への予感の中で、ラングドンがとった行動(ささやかな、しかし本能的な「抵抗」)には、セツナイ共感を抱く人も多かろうという気がしました。
私もそんな気分になる時がある。
スマホのある世界は、時に疲れる。でももう「なかった時代」には二度と戻れない。私たちが類人猿には戻らないのと同じように。

 

最後にラングドンが、小噺みたいに私の大好きな(!)「FEDEX」のロゴの秘密を語っていました。なんか妙に嬉しかったです。