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「画家の詩、詩人の絵 〜 絵は詩のごとく、詩は絵のごとく」展

art


足利市立美術館にて開催されていた企画展を観に行きました。
明治から現代までの画家と詩人の絵画と詩を一堂にあつめて、そのつながりと共鳴を楽しむ…というものです。
私が一番好きな時代の画家たちの作品がたくさん出展されてて、見る前から期待値がすごく高かったのですが、ちと盛りだくさん過ぎました(ぜいたくな悩み…)。
絵と詩はすごく深く関わる領域にあるじゃないですか。なので、両者が合わせて展示される形式では、内容が濃くなりすぎてついていけない部分があるのね(汗)。
とにかく豪華で、たくさんの人の作品が一堂に会してるのでした。
出展されてた人たちの名前をダーッと挙げてみます。


画家
小杉未醒青木繁竹久夢二、萬鐡五郎、藤森静雄、恩地孝四郎、田中恭吉、中川一政長谷川利行古賀春江川上澄生、村山槐多、谷中安規三岸好太郎棟方志功、長谷川リン二郎、難波田龍起、山口薫、香月泰男南桂子松本竣介、浅野弥衛、飯田善國、草間彌生田島征三、芥川麟太郎、藤山ハン、難波田史男、イケムラレイコ、瓜南直子、O JUN、小林孝亘鴻池朋子、村瀬恭子、伊庭靖子


詩人
正岡子規高村光太郎北原白秋、木下杢太郎、萩原朔太郎佐藤春夫西脇順三郎宮沢賢治、佐藤一英、尾形亀之助稲垣足穂、岡崎清一郎、富永太郎小熊秀雄北園克衛瀧口修造草野心平中原中也長谷川四郎まど・みちお立原道造三好豊一郎新国誠一木島始、春日井建、吉増剛造、田畑あきら子、山本陽子


どうです。スゴイでしょ。
彼ら一人一人の絵と詩、その思考と感性の結晶がブースごとに掲げられているのです。
絵を眺め詩を読んでその経歴を見て。
それを、この人数分繰り返すわけです。
想像してみてくださいよ…
それ、むちゃくちゃ大変でしょ(^^; 
クラクラするくらい内容が濃い。
ブースを移動するごとに、バンバン変わる世界観。
とてもではないですが、全部に深入りするのはムリです。
というわけで、この展覧会は図録で見るのも一考です。


画家の詩、詩人の絵 - 絵は詩のごとく、詩は絵のごとく

画家の詩、詩人の絵 - 絵は詩のごとく、詩は絵のごとく


印象的だった作品を少し挙げてみます。



古賀春江「サーカスの景」


いつか実物を見てみたいと思っていた作品だったので、嬉しかったです。
古賀春江はイマイチ統一感のない作品を描くのですが、総じて言えるのはこの時代の「世の中の色」のようなものがそこにあることです。
先進的でありながら懐古調だったりする作品が多いのね。



村山槐多「尿する裸僧」


これはボクちゃんが一番印象的だったと言ってましたw(そりゃそうだろうね)
生きること、天然、ほとばしる情動…その滑稽と崇高と。
思いっきり勢いよく生き、ちぎれるように夭折した村山槐多。
その存在は、大正期画壇の宝です。



棟方志功「星座の花嫁」


これはびっくりした作品。
棟方志功川上澄生に出会って、影響を受けて版画家になったのだそうです。
その”版画家になりたて”の頃の作品がこれ。
後の棟方節炸裂の独特の濃い〜〜版画とはまるで違う、ほぼ川上澄生そのまんまの作品なのです。
ここから「棟方志功」ができるまでのポテンシャルの凄さたるや!
驚きです。
それにしても出会いというのは運命ですね。
川上澄生がいなければ、棟方志功もいなかった。その巡り合いは、まさに神の采配です。



鴻池朋子「みつばちが囁き朝露は受精し」


現代アーティストでは鴻池朋子さんの「本」をモチーフにした一連の作品に惹かれました。
本の中に広がる無限の世界を具象化してるのですが、どれも感覚的にスッと入ってくる。鉛筆画、というのも質感がイイ。
鴻池さんは空間や立体のデザインも手掛けるアーティストのようです。存じ上げなかった作家さんですが、これから注目ですね。


【今日の言葉】


なる様になれ、時はすべての苦しみを消さん。なる様になれ、生きてしあれは、他に何の悲しみやある。


(藤森静雄「生きてしあれば」より)


いろんな作品がありましたが、私はやっぱり、「月映」の3人(藤森静雄、恩地孝四郎、田中恭吉)のコーナーで長々と立ち止まり、じっと見入ってしまいました(混んでる展覧会ではこういうことできないけど、最終日なのに空いていたのです。ラッキー)。
3人の物語を知っているせいか、作品が胸に迫ってくる強さが違う。思い入れがある、ってことですが。そういう作品を観るのはホントに嬉しいものです。
以前「月映」展に行った時の感想はこちら
中でも私は藤森静雄の作品が好き。
静謐で、センシティブ。デザイン的にも簡潔な潔さがあってセンスがイイ。文芸も多く残していますが、それらにも惹かれます。(そしてごく私的なことでの共感もあります。その理由は……以前の「月映」展の感想に書いてありますw)


思えば、同人「月映」こそ、絵と詩を融合させて独特の世界観を見せるという芸術表現を極めた、一つの完成形です。
その独特の豊かさ深さは、きっと若い世代の心にこそ響くと思う。ちょっとTVかなにかで特集したら、すごく人気が出そうだけどな。