ガレの庭 花々と声なきものたちの言葉


宇都宮美術館にガレの展覧会を観に行きました。



植物や昆虫をモチーフにしたガラス工芸で有名なガレ。
精緻で個性的でロマンティックなその造形は憧れです。ずっと見てても飽きない。
展示では、ガレが情熱的に植物を愛し、様々な植物を入手しては自分の庭に集め、それを飽くことなく研究し観察しスケッチして意匠に活かした過程が伺えました。
日本の浮世絵や伊万里焼のデザインなどにも惚れ込んでずいぶんそのエッセンスを取り入れています。当時の欧州のジャポニズムブームにもうまく乗っている。
ガレの作品は芸術品というだけでなく製品でもあるので、商売として流行らせてゆく刺激や人の生活に自分の作品が受け入れられゆく歓びもあったでしょう。
美しいスケッチと、それを具現した夢のようなガラスの作品を眺めながら、このヒトはどんなに楽しくトキメキながら仕事をしていたことだろう…なんてシアワセな人だろう、としみじみ思い、羨ましくなりました。
ガレ自身は工房の代表であり、いわば社長さんの立場です。
デザインや意匠は草案として出すけれど、作品制作の実際は工房の職人さんたちの仕事におうところが大きかったと思います。
実際に作品を作ったそれら名も知られていない職人さんたちの凄さというのも胸に響きますね。素晴らしいです。


ガラス工芸だけでなく、木の家具などの意匠にも惹かれました。
脚がトンボのモチーフになってるテーブルなんてのがあって、めちゃくちゃステキです。
(そのものではないけれど、同じ意匠の画像を載せておきます)



ステキすぎる!
これ、作ってみたい!!!って思っちゃった(作れませんけど(^^; 可愛いものを見るとすぐ作りたくなってしまうのよ)。
猫脚家具ってのはよくあるけど、トンボ脚家具ってのは衝撃です。


ガレといえばコレ、ってくらい有名な「ヒトヨタケのランプ」は今回、来ていませんでした。残念。
ちなみにこれ↓(参考画像)



ランプの形状ってのがまたキノコモチーフにはうってつけですよね。
今回は、同じヒトヨタケをモチーフにした花瓶が出展されてました(ポスターに写っている緑色の花瓶です)。



ガラスというものは光と組み合わさって魅力が発揮されるものですが、ガレの作品には光と同時に闇も内包して存在感を示しているのが魅力です。
一夜だけしか生きられない「ヒトヨタケ」の幻想的な佇まいは、ほの暗く夢のようなガレの作品世界にとても合ったモチーフで、ほんとうにステキ。うっとりします。



美術館の周りの森。
木々の新緑が輝いています。
時は5月。一年で一番好きな季節です。



原っぱには一面のシロツメクサ。甘い香りが漂っていました。
麗しく幸せな初夏の一日です。