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故郷の風の匂いに春のあり

diary



正月に故郷に帰省した時の画像。
あまりの暖冬に、なんと梅の花が咲いていました!
(注:いわゆる「寒梅」じゃないですよ。3月に咲くべき花です)


私の育ったところは、私の幼少時においてもまだ明治時代か?っていうような鄙びた里でした。
(私は市街地の生まれなんですが、4歳の時に両親が田舎に家を建てたのでこの里に越してきたのです。20代の若い夫婦でも、この土地なら安価で戸建ての家が買えたのね。)
久しぶりに歩いてみましたが、さすがに風景は一変していました。
道もきれいになってるし、山は崩されて宅地になって、色とりどりの新興住宅が立ち並んでいました。
でも、ふと目をやるとまだ手つかずの、昔のままの風景も点在していました。
こんな景色もそのうち無くなってしまうのかもしれない。




感受性が豊かな子供時代に里山の自然の中で暮らしたことは、私の感性に大きく影響しています。
土の手触り、風の音、積み藁の暖かさ、空の遠さ、薪焼きの懐かしい匂い…
五感に沁み込んだこれらの記憶はいつまでたっても不思議とくっきりと実感を伴って心の底に残っています。
昭和の頃には、まだそんな時代のはざまに揺蕩うような時間の止まった場所があちこちにありました。
子どもの私は、里山の藪道を分け入りながら、戦に敗れて逃げ延びる戦国時代の落ち武者にもなれたし、野守の目を盗んで逢引きする大和時代の歌姫にもなれた。
狸に化かされたり、風の又三郎に逢ったような気がしたりもしました。
そこには明確な時代の指標がないので、どんな物語も妄想も、土や草の匂いと共に臨場感を伴って生き生きと体感できたのです。
思えばそれはなんと貴重な経験だったんだろう。
知らず知らず、すごい財産を得ていたような気がします。