ライブ嫌い


昨日、お嬢が初めて某バンドのライブに参戦しました。
ずっとお嬢が大好きだったバンドの初単独武道館ライブ。
そりゃもうめちゃめちゃ楽しみにしておりました。
が。
お嬢が家に帰ってきた時の第一声が「もうライブはいかない」でした。
ほー。
内心、「これは私と同じパターンかな?」と思いつつ話を聞くと、案の定でした。
要するにライブならではの世界に馴染めなかったということですね。
彼女の言い分はこうです。


・スタンディングのライブハウスでもないのに、なんで最初から最後まで全員立ちっぱなのか(背が低いので埋もれてしまい、結局舞台が全然見えなかった)
・なんで客が揃って同じ動き(ワイパーとか拳上げ)をするのか。なんかの宗教か?
・客がウェイウェイ騒ぎすぎててウザい。曲調も無視してヘンなノリ。ホントにこのバンドのファンか?
ポケモンショックなみの光演出が過剰で眩暈がする。
・ホールの中で繰り広げられている世界と、今まで抱いていた世界観が違いすぎる。
・全て知ってる曲なのに、全部違う曲に思えるほど曲と自分の距離が遠く感じる。
・いつも大切に聴いてきた音楽を奪われた気がする。
…云々。


これはもう、私が若い頃に感じた失望感と同じです。
それ以来、こんなにも音楽の本質には関係のない「雑音」「邪念」「悪環境」と闘いながらわざわざナマを聴きに行かなくても、音源聴ければそこにすべてあるじゃん!…って思うようになった。
「CDじゃ味気ないじゃない」っていうヒトがたまにいるけど、私の価値観ではCDこそアーティストが丹精込めて作った作品であり、完成形だと思ってるので、「味気ない」とかいう神経こそわからない。


しかしながら、クラシックとなると話が変わってくる。
「CDじゃ味気ない」というのもわからないでもなく、CDとナマなら、やっぱりナマが聴きたい、と思う。


クラシックが良くてポップスやロックがダメなのはどうしてだろう。
その差は何か?
…といったらやはり「客の在り方」、ひいては「場の空気」なんですよね。
クラシックはとにかく客に異様なほどの「静寂」を要求します。
極端な話、しわぶき一つ許されないキビシー雰囲気ですよ。
ビニール袋をガサガサしただけでも眉をひそめられる世界。
ハッキリ言って不自由です。
でも、それゆえに誰にも邪魔されずに音楽を聴ける。
他者が自分の欲望を晒す姿を見なくともすむ。
私は「好きな音楽は誰かと共有することなんてできない」と思っていますが、クラシックのコンサートでは、「音楽」と「私」はちゃんと個人的領域で向かい合えるのです。
そこにいるはずの他者は、影のように静かに沈んでいて、ほとんど気にならない。


それにしてもさすが親子というかなんというか(汗)。
好きなミュージシャンのライブを見て「ライブなんて大嫌いだ!もう二度と行かない」なんていう自分みたいな人間には今まで逢ったことがなかったし、完全に異端だと思ってた。異端の子はやはり異端なのかな。
あまりにも強すぎる自我が遺伝してんだろうか。
私だって楽しいと思うライブはあるのです。全てこんな風に思うわけじゃない。
けれど、すっごく好きで思い入れが強くて、自分のものとして心に響かせている音楽の場合、どうしてもハードルは高くなる。
ぶっちゃけ、他者との共有はできないのです。
他者が幅を利かす、その「場」が耐えられない。
なにかもう、大切にしていたものを力づくで奪われる感じがするんですよね。
そして一度奪われてしまうと、これがなかなか元に戻らないのです。
だからすごく好きな、思い入れの強いアーティストのライブには私みたいなタイプは行かない方が無難なのです。


今度エレカシのライブに行くのだけど……どうだろうな。
正直ちょっと不安でもあるんだけれど、もう私はオトナなので、あんまり幻想も抱いてないし、そもそもエレカシに対してはまだお客さん気分なので(^^;たいして思い入れも深くないですからね、俯瞰で臨めそうな気もしてます。
国際フォーラムの席、すごく後ろなんですけど、「ああよかった!」って思ったもん。
チケの先行とれた時、前の方だったらどうしよう…困るな。って内心思っていたのです。負担だな、と。
新米は後ろからそっと様子見させてもらいます、的な感じがちょうど心地いい。
これだけでももうかなり気がラクです。
プレッシャー感じなくて済む席なので、いろんなものを貪欲に見て来ようと思ってます。


かつてミヤジはライブで「拍手するな!」「立つな!」「黙って聴け!」みたいなことを客に言って(しかもホールではなくライブハウスのちっさい箱でw)暴君伝説作ったことがあるヒトです。
でも、私はその言い分がすごくよくわかります。
自分の表現をちゃんと伝えたかったら、騒いでる客よりしっかり聴いてくれる客の方がいいってのは当然じゃないですか。あたりまえのこと言ってるのに暴君呼ばわりされるのはなんだろうね。主役は誰だと思ってるんだろう。
客が主役になりたがるのって違うでしょ。
「自由にノッたっていいじゃない」とか言ってるヤツいるけど、バカかと思うね。アナタの自由は誰かの不自由だという意識はないのか?誰もがみんなオマエと同じだと思うなよ!
……とは思いつつ、やっぱり客がシーンと座って聴くライブって、なんか違うなぁと思うし(^^;、そこんところはサジ加減というかね。難しいけども。
最近はミヤジも(歳のせいで許容範囲広がったか、はたまたお客様大事と思うようになったのか)ライブで騒ぐヒトにも文句言わないようだし、時にはワイパー煽るようなこともあるようですね。
エレカシの歌にワイパーとかありえないんだけど、やりたいヒトがいるのね。ダセェ。
ヒドイのは、たまに「歌うヤツ」に遭遇するというのがあるらしい。隣のオヤジがいきなり歌い出すっていうね。ゾッとするわーそりゃ勘弁だ。
でもまぁ、もしそんなことがあってももはやネタだね。
ライブがどうあれ、私の耳元で流れるエレカシは変わらないのだから何も心配ないのです。そう思えるほどには私もオトナに(不感症に)なりました。