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「明日に向かって歩け!」


俗に「宮本赤本」と呼ばれている、ミヤジのエッセイ集を読みました。



これね、読みたかったんだけどすでに絶版になってて、オークションとか古書だと出てるっちゃー出てるんですけど相場が15000くらいするのね(もとは1500円ですから10倍の値段ついてる)。
なので、今度国会図書館行く機会があったらそこで読もう、って思ってたんですが、フト思いついて地元の図書館で検索にかけたらなんとあっけなく出てきまして。どしゃ降りの中チャリ走らせて行ってきましたよ。15000円は出せないけど、どしゃ降りにも負けず借りに行くことはできる、と。それが私のミヤジへの愛情レベルですw


2000年6月から丸一年、週刊プレイボーイで連載してたエッセイをまとめたものなんですけど、なかなか硬派で面白かったです。
予想以上に政治の話が多い。政治ネタってのは微妙なもんですけど、予想外にもバランスを崩していなくて好感度高かったりしました。もうちょっとエキセントリックなこと言うヤツなのかと思ってたんだけど、いろんな見識もわりとオトナ。でも、ちょっとした言い回しが背伸びした学生みたいで(要するにわざと難しい言葉を使ったり、文学歴史を例に挙げたりと、日常会話ではない話運びをしてる)、そんなところも実に面白いのでした。
それと、「宮本をめぐる東京・武蔵野三十三景」って企画が併設されてて、ミヤジがお気に入りの東京名所を挙げて、解説するというものなんですが、これがとても興味深かったです。
実際にこういうお気に入りの場所を、ご自慢の江戸切絵図片手にフラフラ散歩しているであろうミヤジの姿が想像できる良い企画でした。


基本、ミヤジはすごく男子校臭のする人です。
この連載は「週刊プレイボーイ」に連載されていた(若い男の子に向けた)ものなので、ミヤジの中の男子校気質っていうか「男同士に話す距離感」みたいなのでできていて、それがミヤジらしさを引き出すきっかけになってよかったと思います。
ゆえにミヤジの、ことあるごとに「男は〜」とか「男なら〜」って言う鬱陶しさも、マッチョな思想というよりも、己と闘う不器用なチャームのように感じて許せてしまうんですよね。
やっぱいいなぁ〜男子校出身男は。
私自身、女子高出身ってのもあって、男子校出身者の女子との距離の取り方、っていうかな…遠慮がちだったり相容れなかったり面倒くせぇって感じが、ピタッと馴染むので、好きなのです。
当然ながらミヤジ独特の突飛でヘンな部分ってのは経歴に関わらずご本人の資質だったりするわけで、そういうのはもうね…遠巻きです(^^;。くだらないことで恋人にブチギレるエピソード等は、端から見る分にはいいですが、こんなヤツ絶対恋人にしたくないわーと心から思うもんね。
とはいえ、ミヤジの魅力ってのはこういったある種「ダメな感じ」から生まれてきてもいるのです(そういうのが歌詞になって生きてくるわけで)
あんなに才能があってあんなにカッコいいのに、なんでこんなにダメ感が漂っているのだろう?…っていうね。一生懸命やってるはずなのに、なんか、どっかのタガが外れてて「立派な大人」になれないよ、マイッタなーってところに共感や親しみが涌く。自己嫌悪と自己陶酔を行ったり来たり、とか、何をやっても半可通だってことを自覚しちゃってるとことか。
それはどこか既視感のカタマリで…やっぱりこの人はどっか私に似てるなぁ、って思うのです。



「江戸切絵図と共に街を散策する著者」w
グラビアのナイスなキャプションが微笑ましい。
新聞を読むのが好きで、明治の文豪が好きで、浮世絵と切絵図と火鉢と急須を蒐集してて、ヒマがあれば美術館博物館に通い、神保町で古本屋を廻り、社交下手で、すぐキレては反省し、「俺はこのままじゃ終わらない。人生ドーンといかなくちゃ!ドーンと!」と口癖のように言い、すぐさま「あなたはどう思う?」と確認してしまうという。
そんな宮本先生を一言で言うと…たぶんご本人の一番不本意でムカつく言葉で言い表せるような気がします。
曰く「可愛い」と。