彼女は買い物の帰り道


買物帰りの風景。
人々の生活を沿って流れる川べりの道。
台風の気配が漂う不安定な雲が、日常の上空に広がっている。
この空の下で、私は今日もいろんな思いを抱えながら生きている。
そのことを過不足無く嬉しいことだと思いながら、家に帰る。


表題はエレカシの曲名。
MVはこれ↓


エレファントカシマシ「彼女は買い物の帰り道」


珍しく、女優さん起用のMVです。
生活感のあるくたびれた雰囲気を出すのが巧い麻生さんを使ってるところがナイスチョイス。
そしてなによりこの街並みが!ド日常すぎてしみじみと胸にクる。
しょぼくて、とるに足らなくて、些細で、あたりまえで、でも大切なものを抱えた日常の風景。
街の”裏っ側”みたいな佇まいがまたイイんですよね。白々しい街灯の感じとか、リアルが息づいている。
こないだまでいた職場の匂いを思い出す。
うら寂れたビルの上に、スコンと抜けたような夕暮れの空がなんともイイ。
非常に共感できるステキなMVとなってます。
これ、傑作じゃね?
MV監督はフカツマサカズさんという映像作家さんです。


どうってことないメロディにどうってことない歌詞…のようでいて、実はこの曲はとんでもない名曲なんじゃないかと思う。
MVとの相乗効果で、心の柔らかいところにグッと入り込んで涙ぐんでしまいそうになる。
生活の中に埋没してる中年女じゃなきゃわからない感覚ですよこれ。
こんなの(言ってみりゃツマラナイ、どうでもいいようなオバサンの夢想みたいなもんを)歌にするヤツ、今まで見たことなかった。
つくづくミヤジって天賦の才をもつ抒情歌手なんだなぁ、って思います。